朝、お母さまがスウプを一さじ吸って、「あ」とかすかに叫んだ。またヒラリと一さじ。お母さまのいただき方は、真似できない。
　前に、弟が私に言ったわ。
「ワイングラスを打ち合わせて『ルネッサーンス』なんてのは、貴族じゃないよ。ママは本物の貴族だ」
　その方々は髭男爵ね。

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　朝、お母さまがスウプを一さじ吸って、「あ」とかすかに叫んだ。
　お勝手の窓から、ヒッピー姿の知らないおじさんが、
「アッと驚く為五郎！」
と叫んで去っていったけれど、何事もなかったかのようにスウプをいただくお母さまは、本物の貴族だわ。ところで、為五郎とは何かしら。

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　虎が、仲間の虎に相談しました。
「俺、今、トラバーユしようかと思っているんだ」
「……久し振りに聞いたな、その言葉」
　仲間が尋ねます。
「で、何に転職するんだ？」
「遊び人から賢者に」
「ゲームの話かよ」
　虎は今トラクエ、ではなくてドラゴンクエスト３をプレイしています。

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　龍と虎が戦っている最中、虎が叫びました。
「トランザム！」
　驚く龍。
「お前、太陽炉積んでるの？」
「いや、言ってみたかった」
「言うだけかよ」
　虎は『ガンダム00』ではないため、時間限定リミッター解除で全身が赤くなることも出力3倍になることもなく、戦いは続きました。

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　虎が、仲間の虎に相談しました。
「俺、今、トラバーユしようかと思っているんだ」
「……久し振りに聞いたな、その言葉」
　仲間が尋ねます。
「で、何に転職するんだ？」
「異世界で勇者になりたい」
「お前、トラックにはねられるのか。痛いぞ」
　転職というより（異世界）転生です。

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　朝、お母さまがスウプを一さじ吸って、「あ」とかすかに叫んだ。私が「い」と言うと、お母さまは、すかさず「う」とお返しになる。
　そのまま、「え」「お」と五十音の最後まで進んだけれど、「ゐ」「ゑ」を見事に発音できるお母さまは、やはり本物の貴族だわ。平安貴族かしら。

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　虎が、仲間の虎に相談しました。
「俺、今、トラバーユしようかと思っているんだ」
「……久し振りに聞いたな、その言葉」
　仲間が尋ねます。
「で、何に転職するんだ？」
「人間に戻りたい」
「お前、『山月記』の李徴か？」
　職業ではありませんが、人→虎がアリなら逆もいけるかも。

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　虎が、仲間の虎に相談しました。
「俺、今、トラバーユしようかと思っているんだ」
「……久し振りに聞いたな、その言葉」
　仲間が尋ねます。
「で、何に転職するんだ？」
「ライオンになりたい」
「お前にとって、『虎』や『ライオン』は職業なのか」
　別の生物になるのは難しいです。

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　虎が図書館に行き、館員に尋ねました。
「アルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ！』はありますか」
「こちらの書架にございます」
　別の虎が尋ねました。
「吉幾三『酒よ』はありますか」
「それは歌ですね」
「五輪真弓『恋人よ』は」
「それも歌です」
「森進一『妹よ』は」
「歌です」

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　とある月夜、恭一が線路脇を歩いていると突如、電信柱が歌いながら行軍を始めました。
「ドッテテ、ドッテテ、ドッテテド」
　しばらく眺めていると、線路の別の方向からも歌が聞こえてきました。
「ド、ド、ドリフノダイバクショー」
　兄さん姉さんパパにママが混ざっていそうです。

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　虎が図書館に行き、館員に尋ねました。
「『虎ップ一家物語』はありますか」
「そのような本は、残念ながら所蔵しておりません」
　虎の大家族のもとに家庭教師がやってきて、みなで『ドレミの歌』や『エーデルワイス』を歌い、罠や落とし穴を避けて外国へ移動しそうな気がします。

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　虎が図書館に行き、館員に尋ねました。
「『デル虎・クエスト』はありますか」
「そのような本は、残念ながら所蔵しておりません」
　悪を退け王国を再興するために七つの宝石を集める過程で、虎子を得ようと虎の穴に入り、出てきた虎に追いかけられるクエストのような気がします。

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　くまモンに質問しました。
「映画『プライベート・ライアン』ライアン役の俳優はマット？」
「デイモン！」
「親子でF1レーサー、父はグラハム・ヒルで息子は？」
「デイモン！」
「10万59歳、歌が上手い悪魔の教祖は何閣下？」
「デーモン！」
　最後は恐らく、綴りが違います。

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　虎が団体でカラオケに行った。
「パトラッシュと歩いた～、空に続く道を～」
「ア～テトラポット登って～」
「トランク一つだけで～、浪漫飛行へインザスカイ～」
「そんな失恋レストラン～」
　フランダースの犬とaikoと米米CLUBと清水健太郎とは謎の選曲だが、全部トラだ。

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　ついていたテレビにちらっと目をやったとき、〝卵焼きに海苔を巻いて縞模様にした〟的な料理が画面に映し出された。
（……鬼太郎のチャンチャンコ？）
　その後の会話によると、虎だったらしい。そうだよね寅年だもんね、ごめん。
　……黄黒の太いボーダーは、鬼太郎に見えるよね。

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　去年、年明け早々に無線LANルータが故障し、バッファローのルータを購入した。今年は電気ポットか？　と身構えていたが、今のところ問題ない。
「丈夫だなー」
と褒めると、ポットが言った。
「しかも強くて、丈夫です！」
　ちょっと待て、それ他の会社のCMだろ。石膏ボード。

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　羊質虎皮。羊が虎の皮を被るように、外見だけ立派で中身が伴わないこと。羊が虎を訪ねて頼みました。
「強く見せたいので虎皮を貸してください！」
「……脱いで貸せるような物じゃないが、それを直接言いにくる度胸が凄いな」
　中身は羊ですが、さらにその中身は強メンタルです。

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　授業中に学校を脱け出そうとしたところ、前門（正門）でタイガーマスクが見張っていた。とりあえずサインを貰う。
　後門（裏門）に回ると、今度は、浪人と乳母車に乗った男の子がいた。見たことあるけど、誰だったっけな。
「子連れ狼だ」
　そうだそうだ。こちらもサインを貰った。

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　授業中に学校を脱け出そうとしたところ、前門（正門）で虎が見張っていた。後門（裏門）に回ると、今度は狼がいる。いやまだまだ、門は左右にもある！
　しかし、左右の門は熊と猪がスタンバイし、塀の外側を龍が周回していた。この学校、生徒のサボりを防ぐのに本気過ぎだろ。

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　狐が虎を訪ねて頼みました。
「紅白歌合戦でラスボス対決できそうなくらい、ゴージャスなステージ衣装を持ってましたよね。今度、町内のど自慢大会に出場することになったので、貸してください」
「……お前が俺に借りるものは、本当にそれでいいのか？」
　虎の衣を借る狐（違）。

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　虎穴に入らずんば虎子を得ず。
　雌トラが逡巡しつつ、今まで入ったことのなかった同人誌販売店「とらのあな」へ入ってみたところ、そのまま常連客となり、やはり常連客の雄トラと出逢ってやがて結婚。めでたく子宝にも恵まれること。最初の一歩が大事、というのは勿論嘘である。

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　虎から年賀状が届いた。ラグビーボールを持った虎の絵が描いてある。
「明けましておめでとうございます。昨年はお世話になりました。本年もよろしくお願いします。今年は寅年、あとらしいことにトライします。トラブルのない一年でありますように」
　途中の文章が何かおかしい。

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　大晦日の夜だというのに怪獣に襲われ、山の上にある寺が危険です。そこへ、ウルトラマンが現れました。
「ジョヤ！」
「違うやろ！」
　突っ込む怪獣。
「ジョヤ、ジョヤ！」
　肉弾戦の後、ウルトラマンがスペシウム光線で怪獣を倒して飛び去ると、背後で寺の鐘がゴーンと鳴りました。

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