読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2251ページ ナイス数:246ナイス ![]() 職場本棚。冬の八甲田越えは可能か。青森歩兵第五連隊と弘前歩兵第三十一連隊を競わせるような形で、明治35年1月、研究的雪中行軍が行われるが、青森隊210名中199名死亡。高校時代の初読後、表紙が全部凍死体に見えて直視できなかった。寒さで狂って川に飛び込み、そのまま凍るのが怖い。青森隊の指揮系統の混乱。本来の指揮官、平民出の大尉が、随行する少佐の干渉に逆らえなかった。少数精鋭で挑んだ弘前隊は全員生還したが、手放しに称賛できないのが複雑。案内人としての能力に全幅の信頼を置くことと、相手を尊重することは別なのか。 読了日:3月11日 著者:新田次郎 ![]() 関東湾に浮かぶ人工島。異性間性交渉により感染する病のため男女が隔離され、人工妖精と共生する。人工妖精の揚羽は、男性側自治区の自警団・曽田陽平とともに、連続殺人犯“傘持ち(アンブレラ)”を追う。日傘はパラソルではないか。『θ』はラノベの皮を被ったSFだが、本書はSFのようでラノベっぽい。地の文が硬くて事象もエグいのに、揚羽と詩藤鏡子の会話や、鈴蘭関連が変に軽いんだよね。“傘持ち”の真相は良かった。第二部面白かったのに第三部ピンとこないのは、私が殺人の謎解きは好きだけど国際政治情勢みたいなの苦手だからだろう。 読了日:3月12日 著者:籘真千歳 ![]() 列車が鏡状門を通って異次元経由で高速移動する世界。東京駅上空2200m、幻の11番ホームでは、唯一の駅員として150年間勤務する全身義体の少女T・Bが、いつでも待っている。初出が電撃文庫だそうで、主人公一人称のほわほわした文体や台詞の掛け合い、天才変人博士のキャラ等は確かにライトノベルっぽいが、内容はがっつりSF。日本は鎖国派と開国派に分かれ、厄介事は「無人駅」に押し付けられる。同時に買った『スワロウテイル』1巻より、こっちが好きだな。西晒湖ドクターは、読み難いので(汗)もうちょっと普通に喋ってほしいが。 読了日:3月14日 著者:籐真千歳 ![]() ゲームに参加するため〈機械〉市に来たギルバート・ゴッセンは、自分が間違った記憶を植えつけられていると知る。ゲームって何だ、〈機械〉って何だ、非Aって何だ。約20年前に『スラン』既読で、内容は全く覚えていないが、そういやこんな感じだったなー。読者が世界観何もわからないうちに(登場人物には当たり前の事実)、主人公が追いかけられまくり、あれよあれよと話が展開する。ゴッセン割と自分に自信あるので、読んでて足下崩れるような不安感はない。解説の、ヴォークトの小説ハウツーが面白かった。読了しても非Aがよく解らん(汗)。 読了日:3月19日 著者:A・E・ヴァン・ヴォークト ![]() 遂に明かされる才賀家の事情。雑誌連載なので一話ずつ新展開が起きて話が進むが、ちゃんと文庫1冊の終わり頃で決着する一つの流れがあり、かつシリーズ数冊に跨る大きな流れも存在する、という、プロ作家の技術の素晴らしさに今更感嘆。異能バトルは、「自分は他の連中とはレベルが違う」と思っているキャラが多い(〈フォレスト・フラワー〉伊敷芹香もベクトルが負なだけで一緒)が、それが単なる思い上がりでしかない場合と、本当に別格な場合の違いは何だろね。自分以外にも別格がいることを認識しているか否か? ジィドにとってのパールとか。 読了日:3月26日 著者:上遠野浩平 ![]() 合成人間でありながら何の能力も持たない織機綺を巡る、2グループの対立。綺を引き入れる鍵として両グループに目を付けられる、恋人の谷口正樹。『ヴァルプルギスの後悔』で綺がリキ・ティキ・タビ能力を得るも失った記憶はあるが、そういや統和機構内での立場はどうなったのか覚えてないや……。“何の能力も持たない”こと自体が重要になるとは、『VSイマジネーター』発売時(1999年!)からリアルタイム読者だけれど、目から鱗。凄い発想の転換だ。自分のものではないエゴ、意地。世界を救ってしまったあとは、どう生きればいいんだろう。 読了日:3月27日 著者:上遠野浩平 読書メーター PR |
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