読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3461ページ ナイス数:252ナイス ![]() 職場本棚。マイアミ市警のマーセデス・バレン刑事の姪が殺された。若い娘ばかり狙った連続殺人の一つとして捜査され、一連の事件の犯人が逮捕される。しかし刑事は、姪を殺した犯人は違うのではと疑いを持ち、独自調査を始める。バレンの夫(新婚時代に徴兵されて戦死)や父(バレン結婚前に交通事故死)、他の登場人物の幼い弟(凍った池で事故死)など、主人公が警察だから仕事としてぶつかる以外にも死が満ちている物語で、全体的に暗い。タイトルの意味は今のところ不明。軽視されていた手掛かりが、一つの名前と結びついて、下巻でどうなるか。 読了日:5月3日 著者:ジョンカッツェンバック ![]() 古本購入200円、表紙は月と移動都市とパウト。『カエアンの聖衣』のほうが面白かったが、これも“外国人の間違った日本観”が炸裂。銀河帝国に純人間の数が激減し、宇宙艦隊にも象や豚などの動物士官が多数乗り組む時代。アーチャー提督(人間)の第十艦隊が向かったエスコリア星域で、猿と人の合成獣パウトは、木目調の拳銃〈禅銃〉を手に入れた直後、伝説の完全無欠の戦士〈小姓〉と出会う。何で〈小姓〉なの(笑)。帝国の政治体制と退廃っぷりの描写が多いが、話に関係あった。何となく、「俺たちの冒険はこれからだ!」的ラストな気もする。 読了日:5月5日 著者:バリントン・J・ベイリー ![]() 職場本棚。自分の伝記を書かせるために女子大生を誘拐した男は、彼女を車で“感傷旅行”に連れ回す。多数の州に跨るので相当移動しているのだろうけれど、私が米国の距離感を全く掴めん(汗)。バレン刑事は、姪を殺した疑いのある男を追って、男の弟に接触するが。人間が歪む原因が幼少時に経験した理不尽への怒りであっても、同じ生い立ちでも同じようには育たない。ラスト、似たシチュエーションをどこかで見たな、と思ったら、前に職場本棚で借りた別の国のミステリだった。事件は全然違うが、犯罪者が人目を忍んで潜伏し易い環境が似るのかな。 読了日:5月7日 著者:ジョンカッツェンバック ![]() インカ好きだがマヤは全く知識がないので購入。メキシコ高原地帯から南下してきたトルテカ系部族が、現在の中米グァテマラに築いたキチェー王国。スペインによる征服後、キチェー族の誰かが失われた絵文書『ポポル・ヴフ』を、キチェー語でローマ字を使って再現したもの。征服直後にいろいろ焼かれたのが惜しい。第一部、二部は神々の物語。神々は二人兄弟が多く、ゴム球の球戯がやたら好き。第三部、四部は人間の物語。グァテマラ奥地まで人々が移住する途中経路を、地図見ながら辿れるのが楽しい。表紙や口絵は現代のメキシコ人画家の作品らしい。 読了日:5月16日 著者: ![]() 創元のゼロ年代ベストの短篇は読んだが、著者の長篇は初読み。時間SFで舞台が邪馬台国、私のツボ過ぎる(裏表紙は「耶」馬台国だが、本編は普通に「邪」)。個人的には、歴史を変えられない時間SFが好きだし、邪馬台国は九州派だが、面白かった! 西暦2598年から過去へ遡行した敵を追い、人類を守るため旅立ったメッセンジャー。しかし、歴史が変わって時間が分岐するため、勝てても同じ未来へは戻れず、別れた人にも逢えない、という悲壮感が良い。邪馬台国を統べる女王・卑弥呼が強い女性で好き。住吉津で檄を飛ばす場面はぞくぞくする。 読了日:5月21日 著者:小川一水 ![]() 軍属の文化人類学者シズマが出逢った少女の秘密。『伊藤計劃トリビュート』の短篇既読、短篇では自己相に接続する/しない者に二分される世界の話と思ったが、違う方向に行った。小松左京『継ぐのは誰か?』を連想。スペイン記録者によるインカ史や、ダーウィンの南米調査記が好きな私には割とツボ。表紙がラノベっぽいが、ラストの戦闘がラノベっぽかったので、表紙は正しい。短篇で死んだ人が生きていて混乱。陸軍がそこまで少女を殺したいのはよくわからない。自己相の欠陥や准将はホラー。エピローグ、これ何らかの対策になっているのだろうか。 読了日:5月21日 著者:柴田勝家 ![]() 引っ越す後輩から貰った、07年刊の廉価本。150点を各1~2頁で紹介。「~と考えられる」という断定に(いや、もっと現実的な解釈があるだろ!)とツッコミ入れつつ、オカルト好きとしては非常に楽しい。解釈はともかく、遺跡や壁画などが存在すること自体は事実なので、考古学好きとしても普通に知識が増えて楽しい。宇宙探査機からの画像のオーパーツ、「画像処理の際にNASAが加工して不都合な物を消した!」という疑いを持たれた場合、画像処理を全くしないことは無理なんだし、もう何を発表しても信じてもらえないんだろうなーと思う。 読了日:5月24日 著者:並木伸一郎 ![]() 事件シリーズ第6弾。小国カラ・カリヤと、4代の“無傷姫”の71年の物語。本シリーズは歴史を感じられて、上遠野作品で一番好きだ。〈大規模魔導時代〉の遺産、火山噴火と人喰い皇帝、七海連合誕生。姫になった経緯はどうあれ、1-3代は自分の意思で行動できたが、4代はお飾りで一番辛そう。真意も表沙汰にならないだろう。シリーズ当初はミステリ×ファンタジーだったが、今回はほぼファンタジー。一応、戦地調停士EDが出張ってきた理由である事件は存在するが開示が遅く、むしろ謎だとも思っていなかった別件が後で衝撃。泣きそうな余韻。 読了日:5月27日 著者:上遠野浩平 ![]() 『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』既読だが未読の伊藤作品もあるため、わからない部分があるのでは、と本書購入前は身構えていたけれど、仮に何も知らずとも楽しめる作品群だった。テーマは「テクノロジーが人間をどう変えていくか」。自分が元々長谷敏司ファンなので『怠惰の大罪』は別格として(長編版、早く読みたい!)、吉上亮『未明の晩餐』と仁木稔『にんげんのくに』が凄く良かった。でも、一番SFっぽいのが伏見完『仮想の在処』、一番トリビュートっぽいのが伴名練『フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪』と思った。 読了日:5月27日 著者:王城夕紀,柴田勝家,仁木稔,長谷敏司,伴名練,藤井太洋,伏見完,吉上亮 ![]() 裏表紙見て噴いた、ブギーと事件シリーズのクロスオーバー短篇集。ブギーに魔導が混ざってくるのは良いが、事件は今後もほぼ独立したシリーズでいてほしい。事件だけでも読んで、と他人に薦めたいから。6篇が事件各巻と対応しているのかと思ったが、『禁涙境』は出てないよね(多分)。城の話とギャンブルの話が好きだ。木村兄、名前は覚えているが生死も記憶にないよ(汗)。竜さん案外楽しそう。せっちゃん割と偉い立場の筈なのに、便利に使われ過ぎというか苦労人というか。「私は……もう着いてた」最後の二人には、幸せになってほしいと思う。 読了日:5月28日 著者:上遠野浩平 読書メーター PR |
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