読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3304ページ ナイス数:96ナイス ![]() 再読。昭和18年、船が難破して真冬の知床岬に漂着。仲間の死体を食べ生還した船長本人に取材した『裂けた岬』と、事実と異なる噂が流布した経緯を追う『知床にいまも吹く風』を合わせて文庫化した本。予備知識なしに買って問題なく読めたが、武田泰淳の小説『ひかりごけ』に対する自分の感想を持って読んだほうが良いとは思う。捜査への軍の圧力、詳細が報道されず噂で真相が捻じ曲がるのは、戦時中という状況ゆえ。しかし“難破による孤立、飢餓”という事態は現代でも起こりうる。29歳で遭難した船長は平成元年、自責しつつ76歳で逝去。 読了日:07月02日 著者:合田 一道 ![]() 再読。閉鎖環境と異端を描く4篇。『流人島にて』南の島の明るい日差しに、不安感と焦燥感が募る。『異形の者』《極楽というブワブワした軟体動物》の気味悪さ。『海肌の匂い』まとわりつく生暖かい湿った空気に息が詰まりそうだ。『ひかりごけ』人喰事件を、笑いを噴き出しながら語る中学校長はいかがなものか。武田泰淳も戦地に行ったと知り、《たんなる殺人》と《自然死の人肉を食べる》の比較が初読時より重く見える。形のないものに追い詰められたくはないが、八丈小島といい淡島といい羅臼といい、非常に現地に行ってみたくなる文章。 読了日:07月05日 著者:武田 泰淳 ![]() 自分が、7月の終業式直後から9月半ばまでを運動会に捧げる高校の出身なので、その文化祭版と思えば熱気は理解できる。経験がないのに脚本を書く羽目になった生徒のプレッシャーも。気の毒に。ミステリ執筆には絶対、特殊技能が必要だと思うんだ。「いいじゃない、鍵ぐらい」最高! 台詞回しに、こんな高校生いないだろ(特に女帝)、と思うけれど、奉太郎にとって苦い展開が、物語としては面白い巻。『氷菓』で“彼”を傷つけた刃が、(あそこまで鋭くないとはいえ)切っ先を翻して此方に向けられたみたいでヒヤリとした。 読了日:07月10日 著者:米澤 穂信 ![]() 文化祭が楽しそう過ぎて、若返って混ざりたい(無理)。里志の心理描写が良かった。摩耶花など漫画を描く人間の、漫画の才能がある者への羨望はわかる。里志が憧れるのは、何かに秀でた者か、特定の才能の持ち主か。ただ、話としては前巻の、奉太郎の急転直下っぷりのほうが好きだ。ところで、非常に久住四季『トリックスターズ』の大学祭巻を再読したい。“祭当日に複数サークルから物が盗まれて謎を解く”程度しか共通点ないと思うが、トリスタの内容を中途半端に思い出したが故に、ぼんやりした雲で目隠しされているみたいで「気になります!」。 読了日:07月11日 著者:米澤 穂信 ![]() 短篇集。男子は迷路の入口付近or最深部をウロウロ、女子は直感でor意識的に直進して壁に正面衝突、という図が脳裏に浮かんだ。青春は大変だ。謎解きとしては『心あたりのある者は』が一番好きだが、物語としては表題作にニヤニヤせざるを得ない。「しまった」か(笑)。少年よ、大いに悩め、と姉どころか母の気分で見守ってしまいそうだ。彼らの倍以上生きてるんだもん、若返って混ざるのは無理だな。桜の下の雛はぜひ映像で見たい。 読了日:07月12日 著者:米澤 穂信 ![]() 再読。世界に六人しかいない魔術師の一人が招聘された城翠大学魔学部に、殺人予告が叩きつけられる。天賦の才の持ち主のみ魔術を使えるが、理論は確立しており、魔術で可能・不可能なことは明確。という世界観で、読者への挑戦状、殺人予告、密室とミステリの王道要素てんこもり、でもかなり邪道(笑)。事件の本筋に全く必要ない謎も多々あるが、《根っからの詐欺師》で呼吸するように嘘をつく、面白いか面白くないかが全ての判断基準、という魔術師の性格で強引に突破。王道好きな人はコレ、笑って許すのか、怒るのかどっちだろう。私は大好きだ。 読了日:07月17日 著者:久住 四季 ![]() 鳥葬の話が好きだ。桃の実の歌も。外伝を読んでいないと話が通じない領域に入ってきたので、現在RELOAD貸出中の後輩に外伝も渡してこよう。最終頁の三蔵怖い(笑)。 読了日:07月21日 著者:峰倉 かずや ![]() 高校時代、十里遠足の横を係で自転車で走り抜けて恨まれたなぁ、と懐かしみながら読了。新年度。古典部に、先輩4人とは随分性格が違う新人が来たな、と思ったが、むしろ4人が高校生にしては大人過ぎるんだな。積極的に関わるにせよ関わらないにせよ、他人に左右されず、退くべき際では退くことを心得ている。友子は別に、珍しい子ではないのよね。奉太郎を巡る(本人知らないところでの)三角関係とか期待した(笑)のに違ったよ。珍しく自発的に奉太郎が謎を解いたが、一番大きな問題は残ったままで、それは奉太郎には解決できない。 読了日:07月21日 著者:米澤 穂信 ![]() 再読。シリーズ2作目、前巻の二ヶ月後。世界に六人しかいない魔術師のうち二人が揃った、外界から隔絶された大学付属研究所内の密室で起きた殺人事件。魔術師・佐杏冴奈(さきょうしいな)が早々に退場したため、佐杏ゼミの学生・周(あまね)が探偵役を務める羽目になる。“嵐の山荘”、ハウダニット・フーダニット・ホワイダニット等のミステリ用語を、私は今巻で覚えた。佐杏先生が探偵役ならばどんな風に解決しただろうか、と考えると結構楽しい。一つ、原理的には実行不可能でない別の解を思いついた気がする(心理的に可能かは別の問題)。 読了日:07月30日 著者:久住 四季 ![]() 後輩所有。旅人のクロと、相棒の喋る蝙蝠セン。話の内容は全然違うのだけれど、童話っぽい雰囲気と、各話の最初のページが結末になっている構成のためか、『キノの旅』を連想する。ニジュクとサンジュがひたすら可愛い。幼女萌えの友人(注:女性)に薦めたい。欲求に忠実な影の話が好きだ(笑)。 読了日:07月30日 著者:きゆづき さとこ ![]() 後輩所有。過去話、クロとセンの旅立ち。魔女。帽子をくれた人。黒服と、棺を担ぐ理由。最後の王女様の話が良いな。 読了日:07月30日 著者:きゆづき さとこ ![]() 後輩所有。一年に一度、センが戻る日。森の中のロボット可愛い。放浪人のケイはセミレギュラーというか、しょっちゅう会うね(笑)。「はかせ」の話。「魔女」の話。……うわー、凄く先が気になるところで終わってる。次巻はいつ出るんだ。 読了日:07月30日 著者:きゆづき さとこ 2012年7月の読書メーターまとめ詳細 読書メーター PR |
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