読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4417ページ ナイス数:364ナイス ![]() 再読。城翠大学を舞台とする、無印(4月)、L(6月)に続く3作目、10月の学園祭初日。朝なのに窓の外は闇、電気も使えず携帯電話も通じない講義棟に閉じ込められた、「ぼく」やミステリ研の学生たち。脱出を試みるも、次々に仲間が姿を消していく。シリーズ最強に卑怯な1冊(注:褒めてます 笑)。客観的にはそんなところで他人を騙すメリット皆無だと思うが、このシリーズの登場人物の場合「それをすると面白いと思ったから」で全部説明できてしまうのが、トリスタのトリスタたる所以だわ。『召喚』の理屈が独特で楽しかった。 読了日:08月02日 著者:久住 四季 ![]() 再読。シリーズ4作目、10月の学園祭2日目。予知夢をもとに、ミステリ研推理ゲーム会場内で、いつ・どこで・何故・誰に対して事件が起こるのか推理する。魔術師の出番が少ないため、ミステリ的にはシリーズで最も公平だが、地味な巻(苦笑)。しかし『未来視』の原理の説明や、諦観に縛られていた周が積極的に解決しようとする心情変化の面で、重要なエピソード。周、一度くらいは“4月の犯人”の可能性を疑ってから、何らかの理由で否定してほしい。見所は佐杏ゼミの面々のコスプレ姿(笑)。 読了日:08月03日 著者:久住 四季 ![]() 再読。シリーズ5作目、前後編の前編。10月の学園祭最終日、再び届いた“魔術師からの挑戦状”。犯行声明を残し、学祭成功に必要不可欠な物が次々盗まれていく。魔術師・佐杏冴奈たちと、ミステリ研の面々が別個に捜査。現れた魔術師の大敵、そして“4月の犯人”。多視点で同時平行に事態は進展し、作中人物が知り得る情報量の多寡には差がある。米澤穂信『クドリャフカの順番』の事件はお祭り騒ぎの一環みたいで楽しいけれど、こっちは被害者に悲壮感・緊迫感があるのよね。恋愛成分多め、ミス研のみゃー子さんが可愛い。 読了日:08月04日 著者:久住 四季 ![]() 再読。シリーズ5作目、前後編の後編。大学に到着した周が、遅まきながら学園祭連続盗難事件の解決に乗り出す。事件の規則性の解明、次なる盗難阻止に尽力する実行委員会。人によって受け取り方の異なる結末。こんなややこしい推理、よく考えつくなぁ。一応“第一部完”だが、事実上の最終巻だろう。2007年から続きは出ていない。周のその後を物凄く見たいけれども、ここで終わるのがキリが良いと思う。やはり大好きなシリーズだ。 読了日:08月04日 著者:久住 四季 ![]() 再読。高校生の慧が拾った謎の少女・真里亜。彼女は天使で、時間を操作できる装置(クロノグラフ)7つを下界に落とした罰で人間にされ、全てを回収するまで帰れないらしい。1つ目のクロノグラフを巡って起きる事件。1冊丸々新シリーズのプロローグみたいなもので、推理を要する事件が起きるのは後半から。装置自体の効能は非常識だが、登場人物はみな普通人なので、前作『トリックスターズ』の「そんなんわかるか!」的な展開はない(笑)。いや、トリスタはそれが魅力なのだが。 読了日:08月05日 著者:久住 四季 ![]() 再読。天使が地上に落とした7つの時間操作装置(クロノグラフ)を探す慧たち。同じ高校の男子生徒の記憶喪失が、2つ目のクロノグラフの仕業と睨んで調べ始める。失われた半年に、何があったのか。毎回、謂わば“普通人がデスノートを拾った為に人倫を踏み外してしまう”みたいな話なので、死人は出ないが後味が悪い。今巻は特に。まだ高校生の慧が一人で真相を抱え込み、本人が自罰的性格なので、読んでいて痛々しい。 読了日:08月06日 著者:久住 四季 ![]() 再読。慧と真里亜の関係がぎくしゃくする中、真里亜の誘拐と、3つ目のクロノグラフが絡む事件が同時発生する。真里亜と慧は偶然出逢ったのではなく、送り込まれたのではないか。シリーズ根幹に関わる謎を提示しておいて、打ち切りは困るなぁ(泣)。二人の仲が修復したところで終わっているのが救い。今回の犯人がどうやってクロノグラフの機能を知ったか疑問だが、誰かに教えられたのか。登場しなかった残り4つのクロノグラフはどんな機能なのだろう、と考えてみる。 読了日:08月07日 著者:久住 四季 ![]() 再読。人里離れた山奥の、天才数学者の館で発見された首なし死体。招待客たちは館に閉じ込められ、外界との通信も絶たれている。この中に犯人がいるのか? 魔術や、ミステリでは反則的な特殊能力の持ち主を出してきつつ、その存在を前提として極めて真っ当に推理する。高校生のうぐいすと譲の、カップル成立寸前っぷりが可愛い。2009年の作品だが、続編出てほしいなぁ。『トリックスターズ』前日譚とすると若干時代が合わない気がするので、個人的には、同じ固有名詞が出てくる別世界と解釈している。 読了日:08月09日 著者:久住 四季 ![]() 再読。結界による密室状況下で、不死身の筈の竜が殺された。誰に、何故、如何にして? 謎に挑むは仮面の戦地調停士、6人の容疑者を訪ねる旅が始まる。〈事件〉シリーズ1作目、ファンタジーとミステリの融合を初めて読んで衝撃を受けた本。続巻になるにつれてミステリ色が薄れるが、物語は滅法面白い。上遠野作品はシリーズ間リンクが激しいため他人に薦め難いが、コレは異世界なので完全に独立して読める。戦争と死に溢れた世界の中で、死んだ竜が最期に示した意志を思うと、重い。 読了日:08月10日 著者:上遠野 浩平 ![]() 再読。外界から隔絶した紫骸城内で行われる魔導師の大会で、連続殺人事件が発生した。城に遺された、古代の魔女リ・カーズの呪いなのか? 双子の戦地調停士ミラル・キラルは、いかに事件を解決するか。登場人物がほぼ全て魔導師のため、常に魔導的な物の考え方をする。この世界の住人ならぬ読者は、理屈がきちんと事前説明されているとはいえ体感レベルで習得できるわけではないので、彼らの思考を先読みして推理するのは難しいんじゃないかな。私には無理だった。前巻『殺竜事件』の登場人物が殆ど出ないのに、世界に入り込めるのは凄いと思う。 読了日:08月14日 著者:上遠野 浩平 ![]() 再読、シリーズ3作目。亡命王女の“この世で最も美しい死体”。殺害容疑者が海賊ソキマ・ジェスタルスの本拠地に逃げ込んだことで、海賊と帝国軍が一触即発の危機に陥り、仲介役としてレーゼ・リスカッセが招聘される。夜壬琥姫の死の真相は、正直「そんなんわかるか!」だったが、海賊頭首の三代の歴史に読み応えがあって、シリーズで一番好きな巻。ED、ヒースロゥ、レーゼ3人組の再登場が嬉しいし、ヒースとレーゼの無自覚ラブラブぶりも読んでてニヤニヤする。遂に表舞台に姿を現した海賊頭首ムガンドゥ三世は、とにかく劇的で格好いい。 読了日:08月17日 著者:上遠野 浩平 ![]() 再読。シリーズ4作目、〈仮面の戦地調停士の過去が明かされる〉という帯は誇大広告だが、前3作の登場人物がちょくちょく顔を出して懐かしい。自治都市・禁涙境の成立から発展、破壊を、小さな幾つかの事件とともに描く。“魔法が使えない街”という設定上、読者の常識が通用するので、第一の事件はもしかしたら推理できるかもしれないが。途中から暴力団抗争とか超人vs怪物バトルとか、もうミステリじゃない(笑)。読みどころは一つの街の盛衰の歴史だと思う。そして、次巻『残酷号事件』の序章だったのだな、と今更感じた。 読了日:08月19日 著者:上遠野 浩平 ![]() 再読、シリーズ5作目にして現在の最新巻(2009年刊)。生前の刷り込みにより、助けを求める声に自動的に反応して変身して駆けつける、蘇生した本人には意志も自由もない“正義の味方”残酷号の物語。各国は次々に進展する事態に対応するのが精一杯で、最早ミステリ成分ゼロというか、謎解きが必要だと思っているのは世界中でEDだけなのではなかろうか。イラストレーターが変わったためか、個人的に“新章開幕”な気分だが、続巻はいつ出るの(泣)。戦乱の絶えぬ世界で、せめてエジンとアリシャの未来に幸あれ。 読了日:08月21日 著者:上遠野 浩平 ![]() 最終巻。【ネタバレ】〈グランギニョルの索引ひき〉って、そういう能力なのか。どちらにせよ蒼衣は傷つくが、暴走ではなく、自分の決断で神狩屋を消滅させたほうが、本人が納得できると思う。でも結局、決断せざるを得ない状況まで追い詰めた神狩屋の作戦勝ちなのか。彼以外のロッジの大人はみんな、少年少女を護ろうとして、いい人だった。白の女王と黒の女王のシーンが好き。最後の蒼衣から雪乃への台詞は、彼らの間に恋愛はないけれど、プロポーズみたいだと思った。『普通』を諦め、非日常の中で生きていく覚悟。雪乃とともに。良い作品だった。 読了日:08月26日 著者:甲田 学人 2012年8月の読書メーターまとめ詳細 読書メーター PR |
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