十二月のある夜。玄関チャイムが鳴ったのでドアを開けると、栗が立っていた。「栗? 栗だけ?」 お経のように、栗が歌う。「……きっと君は来ない、一人きりのクリスマスイブ……」「いや、来てるだろお前」 酢だけとか鱒(ます)だけとかが来るよりは、多少マシかもしれない。
[0回]