読んだ本の数:29冊
読んだページ数:6787ページ ナイス数:406ナイス ![]() 再読。死なない〈異端〉に閉じ込められた時槻雪乃を救いに行く、『いばら姫』の予言を受けた白野蒼衣。〈泡禍〉の舞台・真喜多家には、二歳で死んだ姉と同名を付けられ、“生まれ変わり”の話を嫌悪する娘・莉緒がいた。『落とさないでね』の怪談と、童話がどう絡むのか。『灰かぶり』の杜塚家や『なでしこ』の金森家もロクでもない家庭だが、真喜多家は対外的には成功者で、内部で莉緒を弟と差別しているのが腹が立つな。弟・耀の身に起きた異変は、怖いというより生理的嫌悪でぞわぞわする。そして、絶体絶命に見える、物凄く次巻が気になる引き。 読了日:2月1日 著者:甲田 学人 ![]() 再読。この辺から、表紙絵の背景の道具立てが凝ってくるのかな。〈葬儀屋〉と可南子の戦線離脱、追い詰められる蒼衣たち。予想外の人物との再会。“芽”の意味とは? 現在、私は三歳娘の母だが。長女を二歳で亡くした真喜多夫妻の悲嘆よりも、死んだ姉を勝手に重ねて理想を押し付ける親に反発する莉緒のほうが共感できる。どれほど嫌いでも、親子であるという事実は無視できない娘の葛藤とかね。正気なのに異常な父親に、徹底的に蔑ろにされる莉緒が可哀想だ。〈葬儀屋〉と可南子の秘密。次巻から、最終巻へと転がり落ちていくように悲劇が始まる。 読了日:2月1日 著者:甲田 学人 再読。女子の間で流行する「空曜日」のカレンダー。実際には無い4月31日と11月31日の欄に、願いを書くと叶うという。三歳で死んだ姉・真琴と同じ読みの名を付けられた高校生・坂上真人は、4月、新入生の風見葵&小賀玉茜と知り合った。自分を見ない母。旧家のからくり人形の秘密。デビュー作『夢界異邦人』は3巻未完、本書もシリーズ前提だったろうに1巻のみ。設定が魅力的で、私は好きな作家なのだが。初読時は知らなかった(高橋克彦『闇から来た少女-ドールズ』で覚えた)、実在の生き人形師・松本喜三郎の谷汲観音の名前を発見した。 読了日:2月6日 著者:水落 晴美 ![]() 真木現人の双子の兄で、作家の夢人が村に帰ってきた。外面の良い兄の真の顔を知るのは現人のみ。彼らの妹・信乃歩を怪奇現象が襲うが……。兄を嫌う理由を理解されず、閉鎖的な田舎で孤立する弟には迷惑な話だが、夢人が弟には素を見せるのは何故だろう。『断章のグリム』開始時にも思ったがそれ以上に、物語がこの先どう転んでも幸せになれなさそうな設定だ(汗)。幼時に怪異を体験した為に変人になった夢人は『Missing』空目恭一に似ているが、今振り返ると、空目は性格悪くはなかったんだな。現人が、見届け人としての近藤武巳的役割か? 読了日:2月7日 著者:甲田学人 ![]() てっきり最終巻かと思っていたら、後1冊続くとのことで、それは正直嬉しい。前巻は、星野一輝が大嶺醍哉と音無麻里亜の二人を敵に回した状態で終わったので、今巻は、まず醍哉との決着。一輝、簡単にリミッターを外せるどころか、根本的にリミッターが存在せず無双。今巻は静かに、みんな狂っている。醍哉の中学時代の事件は、高校で仲良くなった一輝には止められない。とはいえ、醍哉が“箱”を知らずにいれば、こんな風に友達同士で対決する事態にはならなかった。マリアが柳奈々と出会わなければ、一輝がOに目を付けられずに済んだのだろうか。 読了日:2月7日 著者:御影瑛路 ![]() 伊佐俊一と千条雅人の過去篇、孤島の秘密研究所での事件。千条が再会早々伊佐に懐いて可愛い(笑)。東澱奈緒瀬は出番なさそうで残念、と思いきやチラリと登場。みなもと雫が存命中かもしれない時期なのでTVにでも映って欲しかったが、仮に研究所にTVがあっても“患者”は見られないだろうな。ペイパーカット現象に遭遇して生き残り、身体に異常が生じた伊佐らの症状は様々。本人の性向など何らかの規則性があるのか考えたが、わからん(汗)。既知の人間の姿でペイパーカットを認識すると思っていたが、ならば伊佐も過去そいつを見ているのか? 読了日:2月8日 著者:上遠野 浩平 ![]() 後輩所有。第一話から予想外の英雄が登場して爆笑した。ちゃんと従業員不足解決してるし、シロの力関係把握が極めて適切だ。鬼灯様素敵過ぎ。黒髪、知的、ですます体で毒舌、あと眼鏡をプラスすれば私の萌えポイントコンプリートなのに。和漢親善競技大会の衣装マジックも素晴らしいが、金魚草の審査員時の眼鏡姿をもっと大きなコマで!(笑) 読了日:2月8日 著者:江口 夏実 ![]() 再読。保険調査員の伊佐俊一&千条雅人コンビが怪盗ペイパーカットを追うシリーズの初巻。天才女性歌手の追悼ライブ会場で発見された予告状。飴玉や宝くじなど些細な物だが、“生命と等価の宝”を盗まれた者は命を落とす。〈ロボット探偵〉、見る人により違う姿に見える怪盗、物を盗まれると死ぬ等は非現実的設定だが、今回の標的は誰かを推理する辺りは一応ミステリ? 同著者の『ブギーポップ』『しずるさん』シリーズ既読だと意味が分かるネタ山盛りだが、未読でもこれ1冊はギリギリ理解可能かな。相良則夫には、相続放棄という言葉を教えたい。 読了日:2月15日 著者:上遠野 浩平 ![]() 再読。ソウルドロップシリーズ2巻。私立探偵の早見壬敦が訪れた杜名賀家で発見された、怪盗の予告状。この家は、20年前に殺人事件に巻き込まれてもいた。東澱奈緒瀬が壬敦相手だと、喧嘩腰だが感情を露わにして、1巻より可愛い。過去の謎に関してはペイパーカットなんて人外が絡まないため、純粋に謎解きを楽しめ、シリーズで一番好き。だが今巻は、同著者『ブギーポップ』シリーズを最低『VSイマジネーター』まで読まないと、MPLSが意味不明。せめて『歪曲王』まで、理想は『ジンクス・ショップ』まで……面白いが他人に薦め難い(泣)。 読了日:2月15日 著者:上遠野 浩平 ![]() 再読。ソウルドロップシリーズ3巻。家出少女・西秋有香は、謎の老人・双季蓮生とともに、ペイパーカットの偽造予告状を使って保険会社から補償金を騙し取ろうとする。双季は、東澱奈緒瀬の父を殺した罪で服役中だったが、半年前に刑務所から姿を消し、東澱一族に狙われていた。少女と老人の奇妙な友情、ロードムービーみたいな話。2巻からのペイパーカットの関心の推移を考えようとしたが、“半年前”が1、2巻より前なのか後なのか不明(汗)。どういう人物がペイパーカットを表紙の姿で認識できるのか、巻が進むほど解らなくなってくるよ……。 読了日:2月16日 著者:上遠野 浩平 ![]() 再読。ソウルドロップシリーズ4巻。ガラス工芸家・波多野ステラの、穴の開いた造形作品「トポロス」の内側に刻まれた、ペイパーカットの予告状と同じ文面。ステラの個展会場で不審死が発生し、同展の保険担当者・諸三谷吉郎は事件に巻き込まれてしまう。諸三谷の妹は入院中、こんなところにしずるさんの主治医が。伊佐俊一が社の意向に背く行動を取るので、珍しく千条雅人と敵対気味。進んで権力を手にしようとする東澱奈緒瀬とは違い、長兄・時雄の、権力者の後継ぎとして生まれてしまった責任感と諦観は、事件シリーズの海賊三代目を思い出すな。 読了日:2月16日 著者:上遠野 浩平 ![]() ガソリンスタンド休憩所。アメリカ海兵隊に従軍してバグダッド入りした報道写真家の本。そう言えば、もう10年経つのか……と思う程度に、イラク戦争を忘れていたことに気付く。死体の写真もあるので苦手な方は注意。個人的には、写真自体は怖くないが、イラクの実際の現場はこんなものではないんだろうなと思う。 読了日:2月17日 著者:高橋 邦典 ![]() 内科待合室。時間屋・時永と依頼者たちの話4篇、他1篇。第1話は3回読んでやっと内容把握した(汗)が、ストーリーの基本を理解したので、2話以降はスムーズに読めた。時間を操作することで、依頼者に対し(『アウターゾーン』みたいな)しっぺ返しがくることを期待してしまう辺り、私は捻くれた読者だ(汗)。感動路線。 読了日:2月19日 著者:日高 万里 ![]() 再読、内科待合室。CLAMP学園初等部学生会の会長・妹之山残、書記・鷹村蘇芳、会計・伊集院玲の3名は、日夜「女性のため」だけに頑張る探偵団を結成した。TVアニメ視聴終了後に先輩から借りて読んだ際、全3巻しかないことに驚いた。アニメスタッフ、この原作をあそこまで膨らませたのか、凄いよ。 読了日:2月19日 著者:CLAMP ![]() 再読、内科待合室。鷹村蘇芳の彼女、梓夜凪砂ちゃん登場の巻。伊集院玲と大川詠心もアニメではラブラブだったが、漫画では明示されていない。昔、先輩に『20面相におねがい!!』も借りて読んだから、一応知ってはいるが。 読了日:2月19日 著者:CLAMP ![]() 再読、内科待合室。伊集院玲がCLAMP学園に転入してくる前の、妹之山残と鷹村蘇芳の初対面エピソードなど。漫画の最終話(蘇芳と玲が残を探す話)が、アニメではもっと派手な展開になっていて(アニメ視聴が先)、漫画を読んだ際に驚いたなぁ、ということを思い出した。 読了日:2月19日 著者:CLAMP ![]() 内科待合室。漫画もTVアニメも見ていないが、放映中にアニメ雑誌の紹介記事を読んだので、「同い年の男女が一つ屋根の下で暮らす話だったっけ?」程度の記憶で読み始めた。間違ってはいなかったが、両家の両親が狂い過ぎだった(汗)。主人公・小石川光希の黒髪に強烈な違和感があるあたり、アニメの髪色(覚えていないが)で脳に刷り込まれているんだろうな……。 読了日:2月19日 著者:吉住 渉 ![]() 再読。高2の修学旅行中に意識を失い、気付くと4組全員が核シェルターじみた密室に閉じ込められていた。千葉紀之は、人工知能ソフィアの“庇護”を一人拒絶する。画面上で行われる、謎の戦略ゲーム。庇護という名の抑圧からの脱出。第13回電撃小説大賞・金賞作品。1冊完結ならば、理不尽な状況下の高校生を描く物語として、黒幕も目的も不明のまま終わってOKと思う。各組首脳以外の一般生徒が無人格過ぎるのが難だが、〈女神〉正樹愛美の、悪意なく正しさを振りかざし、弱者に圧力をかけ、施す気持ち悪さが、本書の見所。ラストは割と爽やか。 読了日:2月19日 著者:土橋 真二郎 ![]() 再読。密室での戦略ゲームに敗れた高橋進一ら8組は上階へと脱出するが、外への出口はなく、そこで次のゲームが始まる。信頼と裏切り。生徒間に発生する階層。暴力。8組+αの人数しか登場しないし、場にカードを出すだけの単純なゲームなのもあってか、1巻よりは、主要キャラ以外の生徒も皆それなりに自分で考えて動いているように見える。高橋の動機が“蒼井典子を助ける”で一貫しているのが良い。正樹愛美が単なる善人扱いなのが勿体無いが、高橋は典子以外どうでもいいから、愛美と表面的に関わるだけなので仕方ない。この巻は本気でお薦め。 読了日:2月20日 著者:土橋 真二郎 ![]() 再読。密室での戦略ゲームに敗れた中山美鈴ら2組に、新たに体感オンラインサバイバルゲームが提示される。風呂敷を畳むのに失敗した完結巻。体感ゲームの上級ステージは○○でしたって、それ映画『Avalon』? 美鈴が無意味に百合八方美人で何をしたいか不明だし、シェルターの“真相”に納得できない。作者が全巻通してコミュニケーションを描きたかったのだということは、再読で理解したが。巻ごとに増える暴力での解決ではなく、千葉・高橋ら学内麻雀四天王の上階揃い踏みによる知略対決を見たかった。私の評価は1巻○、2巻◎、3巻×。 読了日:2月20日 著者:土橋 真二郎 ![]() 再読。人造生物「擬人種」の反乱により、人類が滅亡に瀕した未来。少女ピュセルは神のお告げに従い、人類の王となるべき少年・縷々沙(ルルスナ)の許へ旅立つ。フランスの聖女ジャンヌ・ダルク、通称〈乙女(ピュセル)〉のSF版。記述式無限選択航法や擬人種の設定は面白いが、大筋は史実通りで、知識があると地名や人名でいちいち笑えて困る。ジャンヌの出発から、王太子シャルルが戴冠し王になるまで相当の話。乙女と王の間に罅が入り、この後こそ面白い展開になるのに、ここで終わり? 個人的には、神のお告げにもSF的説明をつけて欲しい。 読了日:2月21日 著者:牧野 修 ![]() 後輩所有。第8話を何度もループして読む。寝返りを打つ鬼灯様! 次頁のまだ寝ている鬼灯様!(笑) 獄卒大運動会、ドSな競技だらけだけれど、本当に危ないときは一応助けてくれる鬼灯様が素敵。ところで、何でこんなに地獄の方々はジブリ好きなのだろう。そして、作者様の万引犯への私怨がとてもよく表れている巻。 読了日:2月21日 著者:江口 夏実 ![]() 後輩所有。唐瓜くん、いろいろカミングアウト。今まで鬼灯様がこの漫画で最愛のキャラだったが、3巻でうさぎどん(芥子)が1位に躍り出た。もふもふしたい。犬のシロも、毛並みが気持ちよさそうだよねぇ。最後の、一瞬だけ心が通じ合うベルゼブブと鬼灯様が笑える。 読了日:2月22日 著者:江口 夏実 ![]() 後輩所有。茄子くんの意外な才能と、白澤のやっぱりそうだったかの画伯っぷり。鬼灯様と白澤、本人同士は全力て否定するだろうけど、絶対仲良いよね(笑)。ベルゼブブの奥さん、レディ・リリス登場。 読了日:2月22日 著者:江口 夏実 ![]() 後輩所有。ぼったくり女郎屋に潜入するときと、EU訪問回の扉絵の鬼灯様素敵。幼少時の鬼灯様も可愛い。EU主従は自分の性的嗜好に正直だ。まっすぐに不誠実なことを言う白澤も正直だ。日本の方々は、芥子ちゃんといいイザナミといい鬼灯様といい、みんな私怨に正直だ(笑)。 読了日:2月22日 著者:江口 夏実 ![]() 再読、ハイニッシュ・ユニバース年代記。フォーマルハウト第二惑星調査隊は、隊長の民俗学者ロカノンを残して全滅。母星への連絡手段は、敵の持つ通信機しかない。ロカノンは、未調査の土地を旅して敵基地を目指す。短編『セムリの首飾り』(短編集『風の十二方位』にも収録)をプロローグとする、著者の処女長編。『セムリ』はファンタジー風SFだが、長編は、異星が舞台のSF風ファンタジーだと思う。神話的世界に『指輪物語』を連想する。私はファンタジーも好きだが、同著者の他SFと比較して、自分の中のSFの判断基準は何だろうと考える。 読了日:2月23日 著者:アーシュラ・K・ル・グィン ![]() 会長選挙&アルカ編終了。選挙は意外な決着。アルカ編はあっさり終わったというか、これで済むわけがない(特にイルミ)と思うので、後日また何か起きるのかもね。ジンがフルボッコにされていて笑った。久々過ぎるあの人の登場。 読了日:2月23日 著者:冨樫 義博 ![]() 高2の玖流緋澄らは、二泊三日の神社での体験修行に参加。その神社には縁結びのおまじないの噂があり、多くの参加者はそれ目当て。しかし、途中で死者が出て……。男女逆だが、識読美古都と玖流はモルダーとスカリーだなと思った。超常的な原因を信じない&初日に他の参加者の顔と名前を覚えた程度の付き合いである玖流の視点なので、恐怖も死者に対する思い入れもないまま、ばったばった人が死ぬ。全然怖くなかった。ホラーと言うより、原因がオカルトの金田一少年だな。神社薀蓄など、値段の元を取るくらいには面白かったが、2巻を買うかは微妙。 読了日:2月23日 著者:御堂 彰彦 ![]() 再読。機能停止した情報収集機械ウィンカの原因究明のため、ペルーのインカ遺跡を訪れた通信社員JHとソール・グレン。インカ人のゲリラ戦か? 自動翻訳機を通して会話し、高性能カメラを通して風景を見る彼らだが、生身で得る情報と電子媒体越しの情報にズレが生じ出す。神林SFとしては比較的ややこしくない、というか、何故そんなズレが生じるかの理屈に重きを置かずに話が進む。状況に翻弄され続けるJHが最後に至った静謐な境地は、これはこれで幸せなのだろう。ピサロによるアタワルパ処刑後のインカの抵抗の歴史は、本書で初めて知った。 読了日:2月26日 著者:神林 長平 読書メーター PR |
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