![]() 理由は見当つくんだけどねー。モント・ロイアルの森で始まり、広がり続ける謎の現象。そこでは動植物も人工物も、人間も、内から光り輝く宝石と化してしまう。現象の原因に関し、時間と空間が云々と作中で一応の説明はあるんだけれど、納得できない……というか、この話において原因はほぼどうでもいいんだよ(汗)。結晶化現象は、美しくも退廃的な舞台を用意するための装置。理屈は必要ない。
癩病院の医師サンダーズは、モント・ロイアルへ移住した元同僚クレア夫妻を訪ねてきた。妻のスザンヌとサンダーズは不倫の仲。彼は、スザンヌが癩に罹ったのではと疑っていて、再会してそれを確信する。が、気付いたことを彼女には告げない。
森の中の廃ホテルでの情事。明日帰る、とサンダーズは言う。引きとめるスザンヌ。それまで薄闇や化粧で隠していた、症状の現れ始めた顔をはっきり見せて、 「たったいま、あなたはどんな女と――交わったのか、知っているの」 ちょっと待てっ、病気を脅迫に使うなーっ! つーか、もしや最初から感染目的で寝たのか!? サンダーズは承知の上、というより自分が彼女の感染源と信じているので、脅迫は成立しなかったが。 スザンヌのこの台詞だけは承服しかねるが、結晶化した森の幻想的な描写は非常に印象深い話である。 (注:癩=ハンセン病は非常に感染力の弱い病気で、感染しても潜伏期間は数年~二十年。乳幼児期の感染以外はほとんど発病しない、と聞く。 サンダーズは、病院の患者から自分が感染し、さらに二年前から不倫関係にあったスザンヌが感染し発病したんだと思ってるが、コレ医学的に正しいのか? 詳しい方いらしたらご教授願いたい。) PR |
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