![]() 汎銀河同盟と人類連合との宇宙戦争が始まって1000年。 汎銀河同盟の降下兵ヴァロワは、敵が死に物狂いで護る謎の惑星〈拠点32098〉への降下にただ一人成功。そこで彼が目にしたものは、見渡す限りの草原と、人類連合軍の強化兵と、真っ白いワンピースの少女だった。 ガダルバ、マリアと過ごす奇妙な日々。人類連合が楽園と呼ぶ星での生活になじみかけたとき、ヴァロワはこの“楽園”の真の意味を知る――。
永遠。記憶。個。
「この作品を三つの言葉で表現せよ」と言われたら、私は上の三つを挙げるでしょう。 〈拠点32098〉は、人類連合軍の人工の神話。死んだ兵士が葬られ眠りにつく、実在する天国。 “死者”としてその星へ搬送されたのちに目覚めたガダルバは、自分はもう兵士ではないと言います。しかしヴァロワには、ガダルバのその姿勢が戦争から逃げているようにしか見えない。自分は、故障した機体を修理してでも軍に戻ろうとします。 そのヴァロワに、ガダルバは問います。自分もヴァロワも、軍の中では歯車の一つでしかない。そうまでして戻ろうとする価値が、あの世界にあるのか――? ことごとくぶつかりあう彼らの考え。けれども、自分たちの上空で殺し合いが繰り広げられていると知らないマリアは、二人の間で無邪気に笑います。マリアと、この星での夏をヴァロワがかけがえのないものと思い始めたとき、彼が直面する少女の秘密。 “永遠”とは何か――そのことを、考えずにはいられません。 いくらでも代わりのある歯車の一つではなく、ひとりのヴァロワという人間として、彼が選んだ道。そして、ひとりのガダルバが選んだ道。 全ては、マリアのために。 第6回(2001年)スニーカー大賞〈金賞〉、感動のSFです。 見上げれば、空にもう、星は流れない。 PR |
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