読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1569ページ ナイス数:214ナイス ![]() 再読。戦時中に書かれた2編収録。私は『右大臣実朝』目当てで購入。実朝暗殺の二十年後、元近習が語る、聖人のような実朝の姿。ご存知のように、という語り口なので、予備知識ゼロだと辛い話。“アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ”実朝の台詞のみカタカナで、人間離れした人物像。公暁が蟹を食う場面の凄味。右大臣拝賀の夜の雪の明るさにぞっとする。表題作は、仙台医専で周樹人(魯迅)と同級生だった老医師の手記。周の〈自分の深く信仰している事に就いては、あまり熱狂して騒がぬほうがよいのではないかしら〉(=多分、太宰の意見)に共感。 読了日:8月2日 著者:太宰治 ![]() 刑罰として、星々を移動して戦闘で勝ち抜かねばならないグラジオラス。初戦、機械の星で出会った相手とは? 生き残って永遠の自由-恩赦を得ることができるのか。全て貴族の気分次第、庶民は人間扱いされない星出身なので、本当に約束守ってくれるか、あまり未来に希望がなさそうではある。後輩所有。その後輩がweb連載も教えてくれたため、本書収録分は全て既読だったりする。というわけで、あとがき漫画が一番面白かった(笑)。ウーパールーパーって自宅飼育できるのか! 若干ネタバレになるので、中身読み終わるまでカバー下は見ちゃダメ。 読了日:8月5日 著者:からあげたろう ![]() Eテレの風の又三郎の歌聞いたら再読したくなった。「'97新潮文庫の100冊」付。九州で買った頃は、将来岩手に住むとは思わなかったなぁ。幼時に絵本で読んだ『グスコーブドリの伝記』は、妹が攫われる場面しか覚えておらず、ずっと怖い話だと思っていた。ブドリの父や母は、岩手には大勢いたのだろう。年譜の「凶作」の文字。本書で一番凄いのは、これから屠殺する豚に同意を迫る『フランドン農学校の豚』だと思う。教科書で有名な『やまなし』や、山男が人間の祭に来る『祭の晩』は明るいが、賢治童話はどこか恐ろしい話が多い。それが魅力。 読了日:8月6日 著者:宮沢賢治 ![]() 再読。「'98新潮文庫の100冊」付。前半の『注文の多い料理店』収録の話は比較的微笑ましいが、私が好きな作品は後半に多い。『ひかりの素足』楢夫が見た夢。“風の又三郎”という存在にぞっとする。『土神ときつね』本書で一番好き。汚い格好で乱暴な土神とインテリ風でお洒落な狐、女の樺の木。狐は樺に、水沢の天文台で星雲を見た等と自慢し、土神は狐に嫉妬する。土神も狐も哀しい結末。何か樺に腹立つ。『なめとこ山の熊』山では熊と対等に渡り合う小十郎が、町で毛皮を売るために卑屈に頭を下げないといけない場面が、死ぬより残酷かも。 読了日:8月13日 著者:宮沢賢治 ![]() 書店で装丁に惹かれ購入。郷里の大先輩に当たる作家だが、初読み。いつか『ドグラ・マグラ』は読んでみたい。表題作が、簡潔で構成も凄く良かった。『鉄鎚』も、グイグイ引きずり込まれた。電話の向こうから来る予感。語り口調の『死後の恋』『支那米の袋』は、話は面白いが語り過ぎに感じる。解説に引用されている『猟奇歌』がどれも素晴らしく、むしろコレらを収録した本はどこかにないのか。〈誰か一人/殺してみたいと思ふ時/君一人かい…………/…………と友達が来る〉〈自殺しやうか/どうしやうかと思ひつつ/タッタ一人で玉を撞いてゐる〉 読了日:8月27日 著者:夢野久作 読書メーター PR |
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