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2020年12月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2573
ナイス数:510


黒の様式 (新潮文庫)黒の様式 (新潮文庫)感想
職場本棚。中編3篇。『歯止め』高校生の息子に悩む江利子。23年前に婚家で自殺した姉の家庭では、何があったのか。『犯罪広告』20年前に失踪した母は殺されて埋められたのだと、青年がかつての義父を広告で告発する。『微笑の儀式』アルカイックスマイルを追求する彫刻家の新作は、実際の死者のデスマスクなのか? 彫刻家と知り合った法医学者が謎を解く、3つ目の話が一番好き。清張の話は、普通に生きている市井の平凡な人々の足元に時々とんでもない奈落があるよね。1つ目とか、謎は解けても何も解決しないのが凄い。2つ目も意外な展開。
読了日:12月01日 著者:松本 清張

新装版 不安な演奏 (文春文庫)新装版 不安な演奏 (文春文庫)感想
職場本棚。雑誌記者の宮脇が手に入れた、連れ込み宿の盗聴テープには、殺人死体遺棄計画らしき会話が録音されていた。映画監督の久間と一緒に調査すると思いきや、久間は早々退場。久間が候補地の一つを調べに行った先で出会った葉山、タイミング良すぎるんで犯人一味なんじゃないかと疑ったが違った。やめられなくて一気読みするも、後で思うと、冒頭で描写された、宮脇が将来映画評論家になりたいとかは話に全然関係しなかったな。宮脇と一緒に読者の私も絶対目にしている筈なのに、そんなところに伏線があったのか! みたいなの清張本当に上手。
読了日:12月02日 著者:松本 清張

帰艦セズ (文春文庫)帰艦セズ (文春文庫)感想
7篇。『鋏』無期囚の仮釈放時の身許引受人となった社長。『白足袋』遺産相続の事情で、延命され続けた伯父。『霰ふる』岩海苔採りの女たちの集団遭難。『果物籠』戦時中の軍事教練教官との再会。『銀杏のある寺』引き揚げられた潜水艦から収容された遺骨。『飛行機雲』開戦命令書を持つ参謀が乗った飛行機墜落事件(『大本営の震えた日』)を取材した小説家と、参謀の夫人との交流。『帰還セズ』小樽の山中で飢餓衰弱死した巡洋艦機関兵。一行の記録から、海軍から逃亡した過去を持つ男(『逃亡』)が真相を調査する。表題作の意外な真相が哀しい。
読了日:12月06日 著者:吉村 昭

破船 (新潮文庫)破船 (新潮文庫)感想
職場本棚。離島の中でも孤立した僻村。父は年季奉公(身売り)で三年不在。十歳の伊作が一人前の漁師として釣らねば、母も弟妹も飢える。村全体が貧しいが、「お船様」(座礁した商船)の積荷の米などを奪うと、数年は潤う。むしろ積極的に座礁を招き、船の生存者は殺す。独特の信心深さでまとまる村。二冬目の船内……それはヤバいよ、と読んでて思うも、村民は知らないわけで。淡々と描かれる、伊作除き一家全員かかった天然痘の病状推移が怖い……。罹患して生き残ったが入山する母の、最期の透徹な表情が印象的。伊作とともに三年過ごした気分。
読了日:12月14日 著者:吉村 昭

ゼロ計画(プラン)を阻止せよ (徳間文庫)ゼロ計画(プラン)を阻止せよ (徳間文庫)感想
再読。「阻止してくれ、ゼロ計画」と言い残して絶命した男。私立探偵・左文字進が、犯人たちの意図に挑む。収賄で離島に飛ばされた元大病院の医師・神崎が企てた、純粋に金銭目的の〈ゼロ計画〉と、途中で別の首謀者に乗っ取られた第二の計画。第二の計画の真の目的と黒幕。事件のスケールが大きく、二十年前の初読時は面白かったんだが、二回読んで面白い本ではなかったらしい。妻の史子が、夫のやることなすこと全てを一旦否定し、その後左文字の正しさが立証されるためだけの存在になってて、一度くらい妻の意見で夫が気付くとかあればいいのに。
読了日:12月23日 著者:西村 京太郎

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)感想
お盆は『ドグラ・マグラ』、年末はコレ。三大奇書の一つ、という予備知識のみで、裏表紙あらすじも見ずに読む。いやぁ、『ドグラ』より遥かに読み易くてサクサク進むわ。昭和29年12月。洞爺丸遺族の蒼司・紅司兄弟と従弟の藍司が住む氷沼家周囲の不穏な影。自称女探偵の奈々村久生は、起きる前に『ザ・ヒヌマ・マーダー・ケース』を推理してみせると意気込む。しかし死者は出てしまい、関係者が集まって互いの推理を披露する。話は面白いんだけど、読みながら『インシテミル』の〈空気の読めないミステリ読み〉という言葉が何度も脳裏をよぎる。
読了日:12月27日 著者:中井 英夫

新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)感想
密室の浴室で発見された紅司は病死なのか。叔父・橙二郎のガス中毒死は本当に事故なのか。氷沼邸以外でも、氷沼家に関連ある人々の死が相次ぎ。薔薇、不動、シャンソンの暗合。アリスとホームズとポーはネタ分かるが、ルルー読まないとなぁ。久生が他人を小馬鹿にしながら頓珍漢な推理を披露するの腹立つので、婚約者の牟礼田、知ってるならさっさと教えりゃいいのにと苛々するが、読了すると何故か肩を叩き合って笑いたくなる。昭和29~30年の狂瀾の時代感。ただ、叔父さん悪いことしてないのにめっちゃ気の毒。著者履歴の短歌編集者にも関心。
読了日:12月28日 著者:中井 英夫


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