読んだ本の数:4
読んだページ数:1365 ナイス数:464 ![]() 書店で一目惚れして思わず購入。シリーズで、本書と横光利一『春は馬車に乗って』と太宰治『魚服記』が並んでいたが、全部中身知らない(苦笑)。とにかく絵が美しいのだけれど、本文は、読みながら「うん、さすが谷崎」と思った。《この足こそは、やがて男の生血に肥え太り、男のむくろを蹈みつける足であった》《顔を見るのは始めてだが、お前の足にはおぼえがある》うん、さすが谷崎。このシリーズの江戸川乱歩『押絵と旅する男』とか泉鏡花『外科室』とか坂口安吾『桜の森の満開の下』とかも、現物見てみたいねぇ。絵を気に入ったら買うと思う。 読了日:06月14日 著者:谷崎 潤一郎,夜汽車 ![]() 影法師と言うタイトルは実に正しくて、天皇そのものはあまり登場せず、しかし“天皇の存在”と密接に関わる、大正~昭和期の事件や人生。大正天皇崩御時の元号「光文」誤報事件、その“真相”は明らかになるのか。皇族崩御時に棺をかつぐ人々・八瀬童子の、大喪の礼前後の活動と村の六百年の歴史。「大正」を否定した森鴎外が晩年に全力を注いだ『元号考』、没後に託した次代元号選定。玉音放送後の8/24島根県庁焼打事件、恩赦された首謀者のその後。どれも知らないことばかり。敗戦を経て昭和も平成も終わり、令和の今読んで、いろいろ考える。 読了日:06月14日 著者:猪瀬 直樹 ![]() 単行本2冊まとめて文庫化、前1/3が『天皇と戦争責任』。基本、米軍の被害を抑えて終戦に持ち込み戦後統治するために天皇を利用するか否か(戦争犯罪人として裁くか免責するか)という観点での歴史の流れの話。法的に責任があるか否かは、最後に東京裁判のウェッブ裁判長が述べているくらい。『戦史ノート』は種々雑多。「東京裁判の法的根拠」裁判長が触れた米軍パイロット処刑事件、九大生体解剖事件の本で問題になった件だ。国際法遵守は、宣戦詔書の問題点として直前に読んだ『天皇の影法師』にも書かれてた。「珍戦史」本当いろいろ珍……。 読了日:06月15日 著者:児島 襄 ![]() 新聞記者の真嶋は、介護施設で老人虐待したとネットに書かれた呉を取材。現在フリーの呉は介護用パワーローダー着用で、超富裕層のみが住む特区へ赴く。依頼人の竹村咲都は父に虐待されて育ち、娘・有羽を虐待。裏表紙と帯に《コロナ禍時代に世に問う》とあるが、連載は2014-6年。〈大災厄〉三部作の1。ローダーが装着者の意に反して動き、老人を虐待する。って状況だけで怖いが、機械と人間の関係を問うのが神林作品だよなぁ。母娘対面が全く綺麗事じゃない地獄なのが良い。マネーが蒸発した後の、閉鎖された特区内だけでなく世界を見たい。 読了日:06月23日 著者:神林 長平 読書メーター PR |
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