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【小話】愚か者2
 貧乏旗本の三男坊であるらしい浪人が、老中の屋敷に闖入してきて言った。
「愚か者め、余の顔を見忘れたか!」
 妙に偉そうな口を利く浪人の顔を、老中は凝視する。
「う、上様!」
 老中は一旦ひれ伏したが、開き直って部下に命じた。
「こ奴、上様の名を騙る不届き者じゃ。斬れ!」
「騙ってなどおらぬぞ?」
「は?」
 思いもよらぬ言葉に、その場で固まる老中。
「そちが勝手に『上様』と解釈しただけであろう」
「では、お主は何者じゃ?」
 老中が問うと、浪人は答えた。
「通りすがりの物真似名人だ」
 暫し沈黙ののち、老中は部下に命じた。
「こ奴、ただの愚か者じゃ。斬れ」


 愚か者 / 愚か者2

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【2011/10/28 00:04 】 | 小話 | コメント(0)
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