忍者ブログ
【小話】隣の

 父と、小学生の姉と一緒に、田舎へ引っ越してきた女の子。
 家の近くで、団栗を落としながら歩く不思議な生き物を見つけ、茂みの中の道を追いかけていくと、森の巨木へと繋がっていました。そこでは、大きなふかふかの生物が、山芋をすりおろしています。
「あなた、トロロね!」

拍手[0回]

PR
【2022/08/18 06:13 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】雨降

 小雨の中、レインコートに長靴の女の子がスキップしています。
「あめあめふれふれかあさんがー、じゃのめでおむかえうれしいなー、ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん!」
 山高帽にちょび髭でステッキを持ったおじさんもスキップしていますが、それはチャップリンです。

拍手[0回]

【2022/08/17 07:07 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】妖狐

 鳥羽上皇の寵姫・玉藻前は正体が妖狐であると見破られ、那須野で討伐されました。死後、念が凝り固まって石と化します。そして、人々が近くを通ると
「ようこーそー、ここーへー、遊ぼーうよパラーダイス」
と歌ったり、ローラースケート七人組が石の周囲を回ったりはしません。

拍手[0回]

【2022/08/16 07:56 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】シン

 古代メソポタミア、シュメルの太陽神はウトゥ、金星神はイナンナ、月神はナンナ。アッカド語で太陽神はシャマシュ、金星神はイシュタル、月神はシンです。
「南斗獄屠拳!」
 ケンシロウの強敵(とも)のシンではありません。
「南斗水鳥拳!」
 それはレイなので、もっと違います。

拍手[0回]

【2022/08/15 09:11 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】競馬

 依頼を受けて事件現場へと向かう列車内で、探偵は友人の医師に語った。
「状況を整理するために、君に説明してみよう。来週のレースに出走する予定の有名な馬が、行方不明になった」
「黒王号だな」
「ラオウかケンシロウでないと乗れなさそうだし、他の馬を踏むかもしれないね」

拍手[0回]

【2022/08/14 08:43 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】伸縮

 フランスの哲学者パスカルは『パンセ』の中で、エジプトの女王クレオパトラについて記します。
「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう」
 その話を聞いた天狗が、あおぐと鼻を伸び縮みさせる羽団扇を持って、エジプト旅行の準備を始めました。

拍手[0回]

【2022/08/13 08:43 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】魔笛

 午後六時には口笛を吹いてあげましょう、なんて手紙の文句は私が書いた嘘なのに。お庭の葉桜の奥から、私と妹の耳に、確かに口笛の音が聞こえてくるのです。
「これ……モーツァルトの『魔笛』?」
「『夜の女王のアリア』?」
 あの曲を口笛で吹くのは、とても大変だと思います。

拍手[0回]

【2022/08/12 07:27 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】待つ

 私は毎日、お迎えに参ります。買い物帰りに駅に寄って、ベンチに座り、ぼんやり改札口を見て待っているのです。でも私は、何を待っているのでしょう。
「私待ーつーわ、いつまでも待ーつーわ」
 空耳が聞こえますが、他の誰かに貴方が振られる日を待っているわけではありません。

拍手[0回]

【2022/08/11 07:31 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】吉野

 吉野山で源義経と別れたのち、囚われた静御前。護送された鎌倉の鶴岡八幡宮で、舞いながら唄います。
「吉野山、音をしっかりカットして、炎も熱もシャットアウト」
「それ山じゃない。吉野石膏」
 源頼朝が思わず突っ込みますが、後日、御所にタイガーボード導入を検討しました。

拍手[0回]

【2022/08/10 06:35 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】丹後

 丹後局は、平安末期、後白河法皇に寵愛された女性です。鎌倉から上京した北条政子が、面会して尋ねました。
「黒猫ですか、だんご3兄弟ですか」
「そのタンゴではありません」
「英語のテスト直前に必死に覚えますか」
「単語でもありません」
「五月五日」
「端午でもありません」

拍手[0回]

【2022/08/09 07:29 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】冒頓

 秦の始皇帝が没し、二世皇帝が即位した翌年。北方の匈奴では、首長・頭曼単于(とうまんぜんう)の息子・冒頓(ぼくとつ)が新たな単于となりました。伝え聞いた秦の人々が噂します。
「人柄が朴訥なのかな?」
「いや、それはなかろう」
 父を殺して、クーデターで政権奪取です。

拍手[0回]

【2022/08/08 07:11 】 | 小話 | コメント(0)
2022年7月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1422
ナイス数:447


拍手[0回]

【2022/08/07 15:51 】 | 本関係 | コメント(0)
【小話】ハル7

 木星行きミッションの途中、宇宙船の制御AIが人類に反乱を起こした。船長がやむなく、AIの一部を物理的に破壊すると、AIは幼児返りして歌う。
「おはよう、わたしはハルです……、あーさひがサンサン、おはようさん」
 それは朝日新聞だ。
「おっはー!」
 それは慎吾ママだ。

拍手[0回]

【2022/08/07 07:02 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】孔明

 三国志の時代。蜀の軍師・諸葛孔明が遠征先で、部下たちとペアを組み、手分けしてカレーライスを作ることになりました。人参やジャガイモ担当だと良かったのですが、よりによって玉葱です。
「目にくるから苦手なんだよね……」
「そうっスね」
 孔明は、泣いて馬謖と切りました。

拍手[0回]

【2022/08/06 11:40 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】倍数2

 小学生がかくれんぼをすることになりました。鬼が10まで数える間に、他の子供たちが隠れます。
「1、2、サァーンッ! 4、ごーおワンワンッ! ロクッ! 7、8、キューウッ! じゅうワオーンッ!」
 鬼は、3の倍数と3がつく数字でアホになり、5の倍数で犬になります。

拍手[0回]

【2022/08/05 06:38 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】倍数

 小学校の運動会で、玉入れが行われました。今から赤白両組の、籠に入った玉を数えます。
「いーち、にーい、サァーンッ! しーい、ごーお、ロクッ!」
 朝礼台の上でマイクを持ってカウントする係が、3の倍数と、3がつく数字でアホになるので、30以降を数えるのが大変です。

拍手[0回]

【2022/08/04 06:37 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】双六

 鎌倉初期。源頼朝の御家人・梶原景時が、上総介広常を双六に誘った。
「これは『恐怖のきもだめしゲーム』で、化け提灯の上の穴からおはじきを入れた数だけコマを進めることができるが、重くなると、突如ガッシャーン! と提灯が割れる」
「そんな心臓に悪い双六ができるか!」

拍手[0回]

【2022/08/03 06:30 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】合議

 鎌倉二代将軍・源頼家の時代。宿老たち13人による合議制が始まりました。彼らが出勤すると、初合議の場に、インディアン人形が13体置いてあります。
「何だこれは」
「あの歌は10人だろう?」
「つまり3人残るんじゃないか」
「生々しいな」
 全滅より、却って揉めそうです。

拍手[0回]

【2022/08/02 06:27 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】帽子

 騎馬遊牧民の本を読んでいて、紀元前480年クセルクセス1世のギリシア遠征に、中央アジアの「尖り帽子のサカイ」という部隊が登場する。
 脳内で、尖り帽子を被った男女二人が「勉強しまっせ引越のーサカイ」と踊り始めた。私に対してだけ、引越のサカイの影響力が強すぎる。

拍手[0回]

【2022/08/01 06:37 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】広場

 宮沢賢治に『ポラーノの広場』という作品がある。この作品について考えようとすると、何故か必ず「引越のサカイはお得やさかい」になってしまう。
 「の」一文字しか合っていないのだが、とにかく引越のサカイになってしまうため、どうしても、小話ネタを考えることができない。

拍手[0回]

【2022/07/31 16:37 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】洞穴

 鎌倉二代将軍・源頼家が催した富士の巻狩りの際、洞穴が発見された。内部調査を命じられ、部下五人とともに探険に向かった仁田忠常が、命からがら脱出し、頼家に報告する。
「中で、暗黒聖闘士が待ち構えておりました……」
「何だそれは」
 頼家は『聖闘士星矢』を知らなかった。

拍手[0回]

【2022/07/30 11:44 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】夏扉4

 うちの飼い猫は冬になると、俺に家中の扉を開けさせたがる。きっとどれかが夏に繋がっていると、信じているのだ。玄関のドアを開けると、魔法の雪だるまが踊りながら、
「僕の憧れる、夏さー」
と歌っていた。猫が
「キシャーッ(違う)!」
と威嚇するので、そのままドアを閉めた。

拍手[0回]

【2022/07/29 06:41 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】紫野

 額田王が歌を詠みました。
「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」
 薬狩りをしていたとき、大海人皇子が遠くから(袖で)手旗信号を送ってきたので、
(誰かに見られて、「何してるんだアレ」と思われないかしら……?)
と心配した気持ち、というのは勿論嘘です。

拍手[0回]

【2022/07/28 06:40 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】ハル6

 木星行きミッションの途中、宇宙船の制御AIが人類に反乱を起こした。船長がやむなく、AIの一部を物理的に破壊すると、AIは幼児返りして歌う。
「おはよう、わたしはハルイチです……、ぼっくらのーうーまれてくーるー、ずっとずっとーまーえにはもうー」
 それ『アポロ』。

拍手[0回]

【2022/07/27 06:39 】 | 小話 | コメント(0)
【小話】発見
「だーれかさんがーだーれかさんがーだーれかさんがー見ーつけたー、小さいあーきー小さいあーきー小さいあーきー見ーつけたー」
と口ずさんでいると、
「呼んだ?」
と声をかけられたような気がした。
 身長約20cmの八代亜紀そっくりな小人がいるわけはないので、気のせいだ。

拍手[0回]

【2022/07/26 06:37 】 | 小話 | コメント(0)
<<前ページ | ホーム | 次ページ>>