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【感想】ソウルドロップの幽体研究
ソウルドロップの幽体研究 上遠野浩平『ソウルドロップの幽体研究』(祥伝社)を読んで、最初に思ったこと。

「則夫! 久美子! お前ら“相続放棄”っつー言葉を知らんのか!?」

 登場人物の相良則夫は三年前から家出中だったが、両親が交通事故死。知らぬ間に両親が作った借金が、いきなり彼の上に降ってきた。則夫と恋人の沢代久美子は、12億もの負債を抱えて右往左往していたのだが。
 ……家庭裁判所に“相続放棄”を申し立てれば、プラスの財産も手に入らないけど、借金もチャラだよ。債務の存在を知ってから三ヶ月以内に申告、という期限付きだが。二人ともまだ若いから知らなくても不思議じゃないけど、周囲の誰か教えてやれよ(汗)。



 そこそこ面白い本である。「そこそこ」という限定詞がつくのは、ブギーポップシリーズとやってること全く一緒だからである。むしろ、『ブギーポップ・○○』というタイトルで電撃文庫から出して、ラスト直前にブギーが現れて美味しい所だけかっさらってくれたほうが、私としては評価が高い。ブギーの世界は、それはそれで出来上がっているので、その中で物語が繰り広げられる分には楽しんで読む。問題は、別の出版社から、一見ブギー物でないような顔で出版されているにも拘らず、ブギー世界から一歩も外に出ていないこと。
 上遠野さん、『殺竜事件』(講談社ノベルス)(感想)とか書いてるんだから、ブギー以外も書けるでしょ、と思うのである。

 最後にもう一つ。これは上遠野さんの責任じゃないと思うが……。
 カラー口絵。伊佐俊一・東澱奈緒瀬・千条雅人の三人のイラストの上に台詞が被っているのだが、千条の上のは伊佐の台詞でしょ(汗)。ちゃんと千条の台詞を載せてよー。

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【2004/09/19 21:00 】 | 感想上遠野浩平 | コメント(0)
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