![]() 主に、米諜報機関CIAが日本国内で何をしたか・しているかを書いた本である。初版が1965年(ケネディ暗殺の2年後)で、これは1976年版(ロッキード事件発覚直後)の復刊。
同時代に出た畠山清行『何も知らなかった日本人 戦後謀略事件の真相』(感想)と、“無知なまま諜報に晒されている日本人を啓蒙する”という目的も同じ筈だが、なぜ読後感がこんなに違うのか。と考えてみるに、畠山氏は、裏社会の人々と友人になりインタビューした内容を、そのまま綴っているんだよね(検証がなく「信憑性が薄い」という評もある所以)。
この本の著者は、“CIA=悪、従ってアメリカ=悪、対抗する自分たち=正義、そして正義は必ず勝つ”というスタンスで、主観的な形容詞が多い。〈CIAの情報能力は、技術的、部分的には、それなりにすぐれた能力をもっている。しかし、不正義な目的で不正義な方法を使って収集するスパイ活動は、かならず失敗するものである〉〈CIAのたくらむ乱暴な内政干渉と、クーデター・暗殺計画は今後も各地で発生するであろうが、一時的には成功したようにみえても、かならず人民闘争に敗れる運命をもっていることを断言することができる〉って断言されてもなぁ。根拠ないじゃん(汗)。他にも、〈もっともきたならしい悪の代表〉〈国家的規模の恥ずべきギャング集団〉〈破廉恥なスパイ謀略活動〉等々。私はもっと、事実を淡々と書いた本が好みだ。 とはいえ、CIA成立までの米諜報機関の変遷や、ケネディ暗殺と下山事件の比較は非常に良かった。ケネディ暗殺に関しては知識皆無だったが、オズワルドが犯人では有り得ないことの論証は非常に面白い。今後、ケネディ本も読んでみようかな。 PR |
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