![]() しかし……何度も繰り返し読んでるうちに味が出てきたんだよねー、スルメみたいだわ(笑)。
遺伝子工学企業の研究者ウラムは、自分の白血球から“知的細胞”を創るのに成功する。だが会社に実験を咎められた彼は、細胞を研究室外に持ち出す、自らに注射して。細胞――ヌーサイトは彼の身体を内部から造り変え、他人へ感染し、やがてそれは北米大陸全土を覆い……。
感染した一人、バーナードの体内のヌーサイトは彼を分析し、彼の《人格》を記号化して複製し、ヌーサイトのレベルの世界《思考宇宙》に入れる。そこでは、バーナードの記憶を元に人生の再構築も可能。 本当のバーナードが仕事では成功していても孤独なのに比べ、《思考宇宙》内の彼が歩もうとしている人生は温かい。ヌーサイトが用意した都合のいい虚構じゃないか、とは思う。だがそれでも、そのバーナードから伝わってくる幸福に、虚構を一概に否定できない。 納得はできないんだけど妙に切ない、そんな読後感の作品である。 PR |
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