忍者ブログ
【感想】継ぐのは誰か?
継ぐのは誰か?  小松左京『継ぐのは誰か?』(ハルキ文庫)。これ、最初の雑誌連載で読んでいた人は面白かったろうなぁ! 毎月、次号が待ち遠しかったんじゃないかと思う。

 ヴァージニア大学都市の大学院生タツヤたちに送られた謎の予告。彼らの仲間、チャーリイを殺すというのだ。
 通報を受けてやってきた警部補は告げる。世界各地の有名大学で、院生や助教授ばかり狙った謎の予告殺人が三度起きている、と。犯人は? その目的は?

 アメリカでミステリみたいな始まり方して、まさかアマゾンであの展開になるとは。SF好きで、南米考古学や文化人類学も好きな私には、ツボのオンパレード(笑)。
 一番楽しかったのは、デ・タラタ教授が“ククルスク”について語る場面。血湧き肉躍る、とはこのことだ。文化人類学的な話をSF的に謎解きしてしまうんだもの。
 それとは別に印象に残っているのが、ヤング教授の台詞。ちょっと長いが引用する。

「科学は、人類の滅亡をすくうために、一肌ぬいだりしませんよ。――科学の応用は、人類をすくいもし、またほろぼしもするでしょうが、科学そのものにとって、人類は、地球上に新生代第三期以降にあらわれた、体毛のすくない、直立二足歩行性の、大脳前頭葉のいちじるしく発達した、霊長類の一変種にすぎない。この“種”の興亡を、支配する法則には興味があっても、滅ぶのを防ぐことには、それほど関心はありません。むろん、われわれも人間である以上、同種の運命について、若干人間的感情を動かされはしますがね……」

 ネタバレすると面白さ半減するので説明できないが、とにかくオススメ。騙されたと思って読んで!

拍手[4回]

PR
【2006/02/17 23:50 】 | 感想SF | コメント(0)
<<【感想】「ひかりごけ」事件 | ホーム | 【感想】トリックスターズL>>
コメント
コメント投稿














<<前ページ | ホーム | 次ページ>>