萩尾望都
『なのはな』(小学館)の収録作、『雨の夜-ウラノス伯爵-』に関して。
不勉強につき、調べてからでないときちんとした感想は書けそうにないので、とりあえず疑問点をメモしておく。
P.80
桃子
「原子力発電所では大量の核廃棄物プルトニウムができるのよ」アン
「半減期が2万4千年なのよプルトニウムは!」 プルトニウム239の半減期は確かに2万4000年なのだけれど。
この物語の登場人物がウラノス伯爵(ウラン)である以上、いきなりプルトニウムの話になるのは、唐突な印象を受ける。
(ちなみにウラン235の半減期は約7億年、ウラン238の半減期は約45億年。)
まぁ、話の趣旨が“原子力発電の恩恵と代償”なので、燃料のウランよりも、発電後の廃棄物を重視したのだろうけれど。
同じくP.80
アン
「プルトニウムからは核爆弾がつくれるわ」 ……ウランからも作れるけどね。広島型原爆。
何というか、タイトルが『雨の夜-ウラノス伯爵-』なのにウランの影が薄くて、皆がプルトニウムの話ばかりしている。アンが何回か、ウランは危険だと言うものの、どのように危険かは説明しない。
せっかくウランを擬人化したウラノス伯爵を登場させたのならば、もっとウランそのものに焦点を当ててほしいなぁ。でないと、『プルート夫人』の二番煎じになってしまう。
(一応、『プルート夫人』の趣旨は、“人間が生み出したプルトニウムという物質の危険性”だと解釈している。)
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