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【感想】星姫紀行
 倉本由布『星姫紀行』(集英社コバルト文庫)。

 星を見るのが好きだった。
 遠い昔に失くしたもの。もう二度と手に入れることはできないもの。
 それが、星であるような気がしていた――。
 私、小夜子と医者志望で優等生の双子の姉、花夜子。幼なじみの男の子にずっと片想いしている、親友の聖子ちゃん。そんな普通の暮らしが、花夜ちゃんが事故に会って前世の記憶を取り戻した日から、少しずつ軋んでいく。
 それは、私が聖子ちゃんの片想いの相手、村田昴さんに“初めて”会った日でもあった……。
 倉本由布さんは、一時期の私の書く小説に、絶大なる影響を与えた方です。
 小学校時代、私はコバルト文庫やX文庫を毛嫌いしていて自分では買わなかったのですが、友人から倉本さんの本を何冊か借りて読み、中でもこの『星姫紀行』だけはとても気に入って、あとで買いました。
 高校に入って、古本屋で倉本さんの『夢鏡 義高と大姫のものがたり』を見つけたあとは……ハマりましたね。もともと鎌倉ものが好きな上に倉本さんの文章とあっては。その頃の私の書いていた小説、文体から舞台から登場人物の性格から、影響うけまくりでした。
 でも、やっぱり私が一番好きなのは、この『星姫紀行』です。
 昴と小夜子が両想いであることを知った、聖子。彼女が、小夜子に言います。

「お母さんがね、言ってたの。好きだった人を失くした痛みは、いつかはきれいな思い出に変わってしまう。でも、友達を失くした痛みは、いつまでも痛みという記憶としてしか残らないのよって」
「思い出と――記憶?」


 前世の記憶と思い出を抱いた少女たちの、素敵な物語です。

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【2001/01/05 19:45 】 | 感想ライトノベル | コメント(0)
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