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【感想】謀殺 下山事件
謀殺 下山事件  矢田喜美雄『謀殺 下山事件』(祥伝社文庫)。森達也『下山事件〈シモヤマ・ケース〉』(感想)、柴田哲孝『下山事件 最後の証言 完全版』(感想)を読んで以来、ずっと探していた“下山事件の古典”。しかし講談社版は既に絶版、新風舎から復刊されたと知ったものの買う前に会社が倒産した(泣)。だが、遂に再復刊! 祥伝社有難う!

 非常に不謹慎な感想で恐縮だが、「血液鑑定した法医学と、油と色素を鑑定した裁判化学の科学者たち、楽しかったろうなぁ」と思う(汗)。
 線路上で発見された血痕が下山定則国鉄総裁のものか調べたいが、総裁本人の血液型が不明。親族16人の血液を採取してABO式・MN式・Q式の3種の検査を行い、組み合わせからAMQ型(確率70%)かAMNQ型(30%)のどちらかに限定する。解剖標本に残っていた微量の血液に対しMN式検査だけを行い、AMQ型との結論を得た。
 総裁の衣類に付着していた植物油の鹸化数と酸化数を測定。胡麻油、菜種油などのサンプルと比較して、糠油と判明。同じく衣類に付着していた四色の色素も、水・アルコール・酸・アルカリに対する反応を調べて、染料メーカーから集めたサンプルの反応と比較、全て塩基性染料と判明する。
 ……この解明過程、実験に携わった人々は絶対に楽しかったと思うよ、私。

 一昨日書店で見かけて即購入、昨日読了したが、偶然にも7月5日は下山総裁が失踪した日であり、翌6日は轢断死体となって発見された日である。

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【2009/07/07 21:00 】 | 感想NF | コメント(0)
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