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2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:4387ページ
ナイス数:261ナイス


上海少年 (集英社文庫)上海少年 (集英社文庫)感想
再読。私が読んだ長野作品で唯一、現実の日本が舞台で、女性が普通に登場する短篇集。『雪鹿子』(昭和11年)『上海少年』(昭和24年)『満天星』(昭和34年)『幕間』(昭和43年)『白昼堂々』(昭和51年)。著者の描く、少し昔の日本の情景は非常に美しいのだが……全ての話に、他人を惑わして振り回し、自分の意のままに動かそうとする人物が登場して、読んでいて腹が立つ。『螺子式少年』の野茨のママみたいなのが大勢いるんだよ(汗)。著者の描く女性は、私と物凄く相性が悪い。『上海少年』の睦だけは、最後、幸せになってほしい。
読了日:5月1日 著者:長野まゆみ

耳猫風信社 (光文社文庫)耳猫風信社 (光文社文庫)感想
再読。十一歳のトアンは、日記帳を買いに行って見慣れぬ町に迷い込み、風変わりな少年と出逢う。キイルが“大人の男”で格好いい。キイルに甘えたいのに、どう振る舞っていいかわからないカシスの微妙な距離感もよい。著者があとがきで〈作中に登場する猫は、当然ながら猫という架空の生物であって、実在するネコ科の哺乳動物としての猫とは微妙にちがっている〉と記すが、長野作品の〈少年〉も架空の存在なんだろうな。私は菓子焼けないが、うちにも猫来てほしい。息子にここまで腕が太くなるか否かを観察されたら、世の母親は謝りたくなると思う。
読了日:5月2日 著者:長野まゆみ

グリーン・マイル〈1〉ふたりの少女の死 (新潮文庫)グリーン・マイル〈1〉ふたりの少女の死 (新潮文庫)感想
再読、映画未見。キングは本書と『キャリー』既読。元看守ポール・エッジコムが、老人ホームで回想する。大恐慌下の1932年、コールド・マウンテン刑務所に電気椅子があった時代。双子の9歳の少女を殺した罪で、死刑囚ジョン・コーフィが連行されてきた。初読時は、1冊買っては一晩で読み尽くし翌日また買う、を繰り返し書店に日参した。刊行時は毎月1冊で半年間、続巻が出るまで待った読者は凄いな! 再読でこのあと起きることを知っているので、私までドラクロアの《ミスター・ジングルズのすごい芸を見てくれよ!》の声が脳内に鳴り響く。
読了日:5月3日 著者:スティーヴンキング

グリーン・マイル〈2〉死刑囚と鼠 (新潮文庫)グリーン・マイル〈2〉死刑囚と鼠 (新潮文庫)感想
再読。刑務所Eブロックに何度も現れ、そのうち死刑囚エデュアール・ドラクロアの独房に居つきミスター・ジングルズと名付けられた、謎めいた賢い鼠。初読時は『ナルニア国ものがたり』未読だったが、今回、脳内でナルニアのリーピチープで再現される(映画は未見)。残酷な看守パーシー・ウェットモアは、何でここまで鼠を憎悪するのか。ポールの病、所長の妻の病、新入りの死刑囚ウィリアム・ウォートンの到来。そして、一応無事なのは明かされているけれどそこで次巻に続くか! というラスト。ここで1ヶ月待たせる作者は酷い(注:褒め言葉)。
読了日:5月3日 著者:スティーヴンキング

はらぺこあおむし (偕成社・ボードブック)はらぺこあおむし (偕成社・ボードブック)感想
auキッズスペース。家に縫いぐるみはあるが、本を見るのは初めて。食べたところに穴が開いていて面白い。甘い物の食べ過ぎでお腹が痛くなるのが可愛い。最後の蝶は綺麗。『おほしさま かいて!』『パパ、お月さまとって!』と同じ作者なんだね。
読了日:5月3日 著者:エリックカール

グリーン・マイル〈3〉コーフィの手 (新潮文庫)グリーン・マイル〈3〉コーフィの手 (新潮文庫)感想
再読で内容知っているにも拘らず、「老人ホームでの話はいいから! 早く2巻ラストの続きを!」と言いたくなる3巻冒頭。思い切り著者の術中に嵌っている。〈ワイルド・ビル〉ウォートンの騒動を何とか収拾したのち。コーフィの“奇跡”を体感したポールは、コーフィが電気椅子送りとなった事件について、個人的に調べ始める。ウォートンは日常を逸脱した邪悪だが、パーシーは日常に入り込んでいる邪悪。死刑囚たちは無関係にEブロックに送られてくるだろうが、同時期にパーシーが配属されていなかったら、この後の物語はどう進むだろうと考える。
読了日:5月3日 著者:スティーヴンキング

グリーン・マイル〈4〉ドラクロアの悲惨な死 (新潮文庫)グリーン・マイル〈4〉ドラクロアの悲惨な死 (新潮文庫)感想
再読。老人ホーム職員ブラッド・ドーラン。時代も場所も変わっても、パーシー的な残酷な人間は常に存在する。ドラクロアは死刑囚であり、犯罪内容から減刑は考え難く、登場時から死は確定事項だった。しかし。罪の報いとしてではなく、取るに足りない私怨と、想像力の欠けた悪意から起きた惨事。パーシーは、どの時点でこれを思いつき、実行することを決めたのだろう。前々夜? 前夜? 悲惨な一夜のあと、ポールは信頼する部下たちに自分の考えを語り始める。この思わせぶりな台詞で4巻を終えて、読者を1ヶ月待たせるなんて、キング鬼だ(汗)。
読了日:5月4日 著者:スティーヴンキング

グリーン・マイル〈5〉夜の果てへの旅 (新潮文庫)グリーン・マイル〈5〉夜の果てへの旅 (新潮文庫)感想
再読。『もとどおりにしようとしたんですけど……手おくれだったんです』コーフィが電気椅子送りとなったデタリック家の事件についての考察。ドラクロアの死の翌日、ポールとその部下たちは、とある計画を実行する。4巻のドラクロアの死はビジュアル的に全巻No.1の残酷な場面だけれど、心構えも何もないうちにいきなり衝撃が襲ってきて過ぎ去っていった。長時間ハラハラして心臓に悪いのは、むしろ今巻の長い一夜だと思う。オルフェウスが死者を甦らせるために冥府へ赴くかのような旅。何とか一山は越えたが夜は終わらぬまま、最終巻へと続く。
読了日:5月4日 著者:スティーヴンキング

グリーン・マイル〈6〉闇の彼方へ (新潮文庫)グリーン・マイル〈6〉闇の彼方へ (新潮文庫)感想
再読。長かった一夜の、衝撃的な幕切れ。そしてポールは全ての真相を掴み、それでも事態は何も変えられず、コーフィの死刑執行の日を迎える。最期に、自分なりの言葉で神への祈りを捧げるコーフィが哀しい。コーフィも、ポールも、誰もが闇へと向かっていく物語。ポールにとっての一番の恐怖は、雨のアラバマなのだろう。立体交差の道路の下の影は恐ろしい。救済と呪いの間に、本質的な違いなどない。電気椅子があった時代の物語ではあるが、タイトルはあくまで〈グリーン・マイル〉。全ての人が歩いていく長い道のりが、話の中心なんだろうと思う。
読了日:5月4日 著者:スティーヴンキング

秘境西域八年の潜行〈中〉 (中公文庫)秘境西域八年の潜行〈中〉 (中公文庫)感想
職場本棚。上中下の中巻しかないので細かい事情は不明だが、中巻開始時点で昭和20年7月13日、中国青海省。著者は蒙古人のラマ僧を装い、チベットのラサを目指す。時節柄、恐らく諜報目的だろうが、9月末に到着したラサでは日本敗戦の噂が流れていた。ヒマラヤを超え、翌年1月インドへ、敗戦を確認する。という背景は過酷で、旅そのものも苦難の連続だが、筆致が楽天的で読んでいて楽しい。身分を偽っているとはいえ、各地で出会う様々な人々と打ち解ける。チベット目的で読み始めたが、クライマックスはヒマラヤ越え。昭和25年帰国との由。
読了日:5月4日 著者:西川一三

アクロイド殺人事件 (新潮文庫)アクロイド殺人事件 (新潮文庫)感想
名作ミステリを初めて読む幸せ。面白かった! 元々私はミステリで犯人を当てたことない(苦笑)が、本書も見事に騙された。噂話大好きな田舎町で、財産家アクロイド氏が刺殺された。犯人は、動機は? たまたま村で南瓜を作っていた名探偵エルキュール・ポアロが、依頼されて真相解明に乗り出す。人が死んではいるのだが、クリスティ作品は後味が悪くないので純粋に楽しい。しかしまぁ、揃いも揃って隠し事している人々ばかりが関係者に集まったものだ。誰がどの時点でどこまでの事実を知っているかを踏まえて再読すると、非常に楽しいに違いない。
読了日:5月5日 著者:クリスティ

エンド・ハウスの怪事件 (1975年) (創元推理文庫)エンド・ハウスの怪事件 (1975年) (創元推理文庫)感想
再読。エンド・ハウスの若き女主人ニック・バックリーの周囲で起きる変事。近隣のホテルで保養中だったポワロ(「わたしは告別公演を十二回もするような人気俳優とはちがう」)が、犯罪を未然に防ぐために介入する。ヘイスティングズが出る作品は、本人が深い意味もなく口走った台詞が、ポワロの謎解きの重要なポイントになる、というのが好き。初読時、今回はどの台詞だろう、と思いながら読んでも当たらないんだよなぁ。アクロイド読んだ直後なので、南瓜を栽培していても殺人事件云々で笑ってしまった。アクロイドでも「引退」してたよね(笑)。
読了日:5月6日 著者:アガサ・クリスチィ

ABC殺人事件 (新潮文庫)ABC殺人事件 (新潮文庫)感想
再読。南瓜を作るために引退したが、事件が起きるポワロ。「自分でも認めるがね、引退なんて、はじめっからわたしは望んじゃいないんだよ」開き直った(笑)。女性作者なのに、ポワロとヘイスティングズの頭髪談義が真に迫っていて何度読んでも感心。ポワロ宛に、ABCと名乗る人物から犯罪予告の手紙が届く。頭文字A、B、Cの場所で順に起きる殺人。いつか英国旅行したら、各事件現場を巡るのが夢だ(あと『嵐が丘』ヨークシャーと『バスカヴィル家の犬』ダートムア)。ヘイスティングズは明白なことを述べる天才だが、その場ではスルー(笑)。
読了日:5月6日 著者:クリスティ

天文月報 2015年 05月号 [雑誌]天文月報 2015年 05月号 [雑誌]感想
『宇宙初期の超巨大ブラックホール形成』超大質量星誕生→崩壊→種BH→SMBH。『超新星爆発時におけるダストの形成と供給』水素外層を持たない/持つ超新星爆発時のダスト放出過程でのダスト破壊の有無。『現在こそゴールドラッシュの星間分子発見』年間4個ペースで新分子。『「タイ・日本天文学交流セミナー・天体観望会2015」参加報告』タイ日食伝説「太陽を食べる蛙/犬」。オリオン座は亀。先月号から連載の古在由秀氏ロングインタビューが面白い。戦後すぐの若手天文学者の研究生活。当時は皆、独・仏語の原書を読んでいるのが凄い。
読了日:5月7日 著者:

妖精の国への誘(いざな)い (福武文庫―JOYシリーズ)妖精の国への誘(いざな)い (福武文庫―JOYシリーズ)感想
再読。文章少な目でサラリと読め、図版が非常に美しく、眺めていて楽しい1冊。「妖精を見たいときには」「妖精のまどわしの術」「取り換え子(チェンジリング)」「妖精から身を守るお呪い」等々、妖精関係の基本知識を知ることができる。ただ、アイルランドの妖精やらドイツの妖精やらが入り乱れて登場し、紹介される妖精もそんなに多くないので、百以上いるらしい妖精の種類を辞書的に知りたい(私はその目的で購入)場合は向かない。項目があるのはトロール、エルフ、ゴブリン、ブラウニー、ドワーフ。訳者が紹介している他の本も読んでみたい。
読了日:5月9日 著者:アヴリルロッドウェイ,井村君江

モルグ街の殺人事件 (1968年) (角川文庫)モルグ街の殺人事件 (1968年) (角川文庫)感想
再読。表題作と『マリー・ロジェエの怪事件』『穽と振子』『早過ぎる埋葬』『おまえが犯人だ』『ぴょんぴょん蛙』収録。モルグ街は有名なミステリの古典だが、同じオーギュスト・デュパンが探偵役の『マリー・ロジェエ』のほうが私は好き。現実の未解決殺人を、舞台を変えて推理する(結局メアリー・ロジャース事件は解決したのか)。本書では『ぴょんぴょん蛙』が最高。宮廷道化師の復讐。王たちが仮装する猩々、今の訳ならオランウータンと書くのだろうが、猩々のほうが時代がかった怪しげな雰囲気が出て良い。ポオは『赤き死の仮面』とかも好き。
読了日:5月10日 著者:エドガア・アラン・ポオ

ベーリンジアの記憶 (幻冬舎文庫)ベーリンジアの記憶 (幻冬舎文庫)感想
再読。アフリカで誕生した人類が南米まで到達する人類大移動のうち、氷河期にユーラシアから北米へ今のベーリング海峡を渡る。当時は海面が低く地続きで、ベーリング地峡(ベーリンジア)と呼ぶ。一枚の絵に惹かれアラスカを訪れた由季は、画家の先住民女性と儀式を行い、太古の世界を〈夢見〉する。行方不明の父の後を追い、〈地の橋〉を渡って東の国へ向かう少女ユカナの過酷な旅の物語。結ばれぬ運命のテンギとの旅と別れが切ない。個人的には現代パート不要(汗)なのだが、作者としては、太古から現代へと輪が繋がることに意義があるのだろう。
読了日:5月13日 著者:星川淳

はじめての ほしぞらえほん (はじめてのシリーズ)はじめての ほしぞらえほん (はじめてのシリーズ)感想
遊学館。絵が可愛く、全ての漢字に振りがなが振ってあって、子供でも読めるけれど、内容は割と高度? 星空(星座)の話ばかりではなくと、地球の自転軸がズレると今の北極星が真北でなくなってしまうとか。彗星が落とした粒の中を地球が通ると流星群になるとか。大人が読んでもかない面白いと思う。
読了日:5月16日 著者:

はじめてのうちゅうえほんはじめてのうちゅうえほん感想
遊学館。漢字をほとんど使っていなくて、『はじめてのほしぞらえほん』よりも子供向け。太陽系の惑星や、天の川(銀河系)や、地球の誕生や、宇宙ステーションや人工衛星。そうだよね、地球も宇宙のうちだよね、と思う絵本。
読了日:5月16日 著者:てづかあけみ

ヨーロッパ中世の宇宙観 (講談社学術文庫 (999))ヨーロッパ中世の宇宙観 (講談社学術文庫 (999))感想
再読。エンデ『ハーメルンの死の舞踏』で笛吹き男に興味を持ち購入。論文と講演のまとめなので、書き言葉と話し言葉の章が混在するが、内容は一つの流れがある。1284年6月26日に起きた何らかの事件。だが当初の伝説はあくまで笛吹き男、鼠取り男ではなかった。実際に起きた事件に対する仮説と、現在の形に伝説が変貌する過程が謎解きみたいでわくわくする。笛吹き男(楽人)が賤民だったことから、著者の関心は、刑吏などの賤民やユダヤ人に対する身分差別がなぜ発生したかに移る。小宇宙と大宇宙の間に存在する者への畏怖の、賤視への転換。
読了日:5月22日 著者:阿部謹也

アナと雪の女王 エルサのサプライズ (ディズニー プレミアム・コレクション)アナと雪の女王 エルサのサプライズ (ディズニー プレミアム・コレクション)感想
五歳娘に購入。アナの誕生日パーティ。お馴染みの姿から衣装替えした二人、特にアナのドレスがめちゃくちゃ可愛い。オラフの「かわいいおとうと!」の台詞は、読んだら脳内で声が聞こえた。
読了日:5月27日 著者:

アナと雪の女王 海をこえて (ディズニー プレミアム・コレクション)アナと雪の女王 海をこえて (ディズニー プレミアム・コレクション)感想
五歳娘に購入。エルサとアナが船旅で諸国訪問。万一を考えたらどちらかは国に残るべきだと思うが、自分の魔法の力に引け目を感じているエルサには明るいアナの支えが必要だし、何より二人とも楽しそうだ。
読了日:5月27日 著者:


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【2015/06/02 19:24 】 | 本関係 | コメント(0)
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