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【感想】拉致 知られざる金大中事件
拉致―知られざる金大中事件 中薗英助『拉致 知られざる金大中事件』(新潮文庫)。
 大韓民国の前大統領・金大中(キムデジュン)。昔、彼が日本国内から韓国へ誘拐される、という事件があったことは知っていた。しかし、何の為に、というのは知らなかった。

 1973年。朴正煕(パクチョンヒ)大統領の独裁に抵抗し、国を追われた金大中は、米国と日本の政治家や在留同胞に訴えて反朴運動を進めていた。大統領は、韓国中央情報部KCIAに、日本滞在中の金大中抹殺を命じる。
 金大中と、彼を捜すKCIAが行き交った東京都内は私も馴染みのある場所で、私が生まれるたった3年前にこんなことが行われていたのかと驚く。結果として“拉致”事件になったが、殺されなかったのが奇跡のような状況。この事件が起きるまで、起きたのちの韓国の現代史を、もっと知りたくなる本だ。
 個人的には、抹殺計画の現地責任者、駐日大使館公使・金存権(キムチョングォン)が読んでいて気の毒。ダーティなことはしたくないが、至上命令には逆らえない。気の進まぬ計画を何とか実行したのに、本国からは情報漏洩を疑われる。金大中が解放されたのち、金公使はじめ事件に関わった人々はどうなったのだろう……。

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【2005/11/08 21:00 】 | 感想NF | コメント(0)
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