理髪師は、必死に地面に穴を掘っていた。王宮の者以外では、自分だけが知っている王の秘密。もちろん口止めされているが、黙っていることに耐えられなくなった彼は、人里離れた草原に大きな穴を掘り、その中に秘密をもらすことにしたのだ。
掘り終えると、理髪師は穴の脇にひざまずき、ささやく。 「王様の耳は……」 そこで沈黙し、やがて、その肩が小刻みに震え始めた。 「ちくしょう……おっさんのネコ耳なんて見たくなかった……俺の夢を、理想を返せ……」 誰にも言えなかった心情を吐露すると、理髪師は泣き崩れた。 PR |
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