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【小話】王様の耳
 理髪師は、必死に地面に穴を掘っていた。王宮の者以外では、自分だけが知っている王の秘密。もちろん口止めされているが、黙っていることに耐えられなくなった彼は、人里離れた草原に大きな穴を掘り、その中に秘密をもらすことにしたのだ。
 掘り終えると、理髪師は穴の脇にひざまずき、ささやく。
「王様の耳は……」
 そこで沈黙し、やがて、その肩が小刻みに震え始めた。
「ちくしょう……おっさんのネコ耳なんて見たくなかった……俺の夢を、理想を返せ……」
 誰にも言えなかった心情を吐露すると、理髪師は泣き崩れた。

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【2011/08/26 00:10 】 | 小話 | コメント(0)
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