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【感想】白痴
白痴  アーシュラ・K・ル=グウィン『天のろくろ』(ブッキング)の中に、「なんとかエフスキーという人の書いた」本を読む場面がある。「コーカサスの村の住人たちがひとりの白痴(中略)を残して死に絶え」る話らしい。で、図書館でドストエーフスキイ『白痴』(岩波文庫)を借りて読んでみたが、違った(汗)。
(『天のろくろ』は歴史改変物なので、どんぴしゃりの内容の本は実在しないかもしれないが、モデルはあると思うんだよなー。)

 主要登場人物は、純真無垢が服を着て歩いているような主人公ムイシュキン公爵。心ならずも富豪の妾にされた、破滅的な言動の美女ナスターシヤ。彼女を狂的に愛するラゴージン。気位の高い将軍令嬢アグラーヤ。
 公爵はナスターシヤに結婚を申し込む。ナスターシヤは公爵を愛するが故に身を引き、ラゴージンと逃げる。アグラーヤに、公爵との結婚を勧める。アグラーヤは公爵を愛しているが、ナスターシヤのような女に口を出されるのは我慢ならない……。

 アグラーヤ、要はプライド過剰。彼女が最終的にどんな運命に陥ろうと、私には自業自得としか思えん。
 公爵以外、ハタ迷惑な人間だらけの小説の中で、不思議とラゴージンは好き。嫉妬心から公爵を殺そうとしたり、充分とんでもないのだが、なぜか卑劣な感じがしない。あ、ナスターシヤも相当迷惑だが、嫌いじゃないな。
 公爵は、どちらかと言えばアグラーヤが好きなんだと思うけど。結局のところ“恋愛感情”ってものを理解してないんだと思う。アグラーヤとナスターシヤ、どちらに対しても。

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【2007/01/29 20:00 】 | 感想海外文学 | コメント(0)
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