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【感想】空ろの箱と零のマリア
空ろの箱と零のマリア  この作者の本は初めてだが、書店で惹かれるものがあったので、買ってみた。御影瑛路『空ろの箱と零のマリア』(電撃文庫)。これが、久々の会心の当たり!
 ……しかし、どこがどう面白かったかを説明するのが難しい(汗)。絶対ネタバレになるもんなー。
 とりあえず。かつて私に高畑京一郎『タイム・リープ あしたはきのう』と上遠野浩平『ブギーポップは笑わない』を紹介してくれた某氏なら、気に入ってくれる筈だ。

 以下、ネタバレ放題の感想をば。
 主要登場人物の性格が、甲田学人『断章のグリムI 灰かぶり』の白野蒼衣と時槻雪乃に似ている気がする。日常に固執する平凡な主人公・星野一輝。根は優しいが、敵と戦うべく心を鎧った超絶美少女・マリア。そう考えると、“0”の“箱”は、『断章』の“神”の“悪夢”に当たるのか。しかし“神”には人格ないからなぁ。
 人間を観察している、という点では、上遠野浩平『ソウルドロップの幽体研究』のペイパーカットを思い出すが、彼は(何人も殺しているとはいえ)人間に害意を持ってはいないよね。純粋に研究目的。しかし“0”は、人間が苦しむ様子を観察して楽しんでいる。どんな状況に追い詰めればよいか、ある意味、人間を既に充分理解している(汗)。霞の狂いっぷりは凄かった……。
 『タイム・リープ』みたいに話の構造自体が凝った作品だから、仕掛けを理解した上で最初から読み返すと、「おおっ、細かい箇所もちゃんと辻褄が合ってる!」と楽しめる。しかし同じ手は二度と使えないから、シリーズ化するなら次は全く違うアイデアが要るな。何にせよ、非常に面白かった。

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【2009/01/15 21:00 】 | 感想電撃文庫 | コメント(0)
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