![]() 最近、人が死なないミステリを読みたい、と思う。きっかけは数年前、恋人が病気で死ぬ純愛物のブームに辟易したことなのだが、次第にミステリも、魅力的な謎を創造するためだけに人を殺すのは如何なものか(汗)、という気がしてきた。 日常ミステリと言えば昔、宮部みゆき『我らが隣人の犯罪』を読んだことがある。が、他の宮部作品に比べて面白くなかったため、以来“日常ミステリ”に対する印象が悪かった。しかし近頃、日常ミステリって実は殺人事件より難しいのでは、と思い始めた。面白い日常ミステリがあれば、それはきっと凄いことなのだ。 で、思い出したのが北村薫。
以前、噺家の円紫師匠と女子大生〈私〉のシリーズ1作目『空飛ぶ馬』(日常ミステリ短編集)、3作目『秋の花』(長編:これは人が死ぬ、感想)を後輩から借りたが、どちらも心に残る作品だった。あのシリーズならば外れはあるまい、と買ったのが『六の宮の姫君』。“芥川龍之介はどんな意図で『六の宮の姫君』を書いたか”という謎を一冊丸々追求し続ける長編である。
……この本、危険だ(汗)。作中に登場する、芥川や同時代の他の文豪の作品、全部読みたくなったじゃないか! 近代文学に興味がない人には全く面白くない可能性があるが、今の私には非常にツボだ。 ところで。私自身は通常の就職活動をしたことがないけれど、私の周囲の四年生と比べると〈私〉はのんびりしているように見える。昔(初出1992年)はこんな感じだったのかな。 シリーズ5作目『朝霧』の感想はこちら。 PR |
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