![]() これ、通常は“恋愛小説”に分類されるのだろうか? でも、主題は“恋愛”ではなくて、“大切な人との別離の克服”だよね。 個人的には、長野まゆみの初期作品(『少年アリス』等)と同系統だと思う。美しく磨き抜かれた文章と、現実感のない世界。もちろん長野作品に比べれば、我々が住む現実によく似ているけれど、わずかに位相が異なる平行世界のような。 ファンタジー、と自分の中で位置づけると、非常に納得できた。 以下ネタバレ注意。 PR |
![]() |
![]() が。私が一番好きなのは、本題に入る前の、哲学者と、かつて“極楽の専門家”だった“私”の問答場面。「僕は地獄へ陥ちるんですよ」と勝ち誇ったように言う哲学者に、“私”は「人間はみんな極楽へ行くときまってるんですから」と言い返す。“極楽というブワブワした軟体動物”に、沈黙する哲学者。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() 昇っているのか下っているのか。そもそもこれは本当に動いているのか。そんなことを考え出すほど長いエレベーターを降りた「私」は、ピンクのスーツの似合う太った美しい無音で喋る娘に案内されて、雨合羽を着込み、暗いトンネルの向こうの依頼人のもとへと歩いて行く……(ハードボイルド・ワンダーランド)。 一方「僕」が迷い込んだのは、周囲を高い壁に囲まれた、一角獣の住む影のない街だった……(世界の終り)。 交互に訪れる二つの物語が、「私」が「組織」と「工場」の対立に巻き込まれるにつれて――。 |
![]() |
| ホーム |
|