多分、私は“宮崎吾朗監督”というだけで評価が甘くなる。
初監督作品『ゲド戦記』の際、映画公開前にCD『ゲド戦記歌集』を買うと、歌詞の多数を吾朗氏が書いていた。原作の世界観がよく出ていて、吾朗氏が原作を大好きなのが解って、映画にも期待した。
……が、映画は原作の下手なダイジェストで、未読の人には意味不明だったと思う(汗)。しかし、“原作が好き過ぎて、割り切ってエピソードを取捨選択できなかったのだろう”、と好意的に解釈。
原作にはないシーンが存在して、その後のストーリーに全く活かせていないけれど(汗)、恐らくこれが吾朗氏自身が描きたいこと。監督としての評価は、もう一本見てから判断しよう、と思った。
(但し、“会社がジブリで、本人が駿氏の息子でなかったら、もう一本作らせてもらえない”出来とも思う。)
さて、『コクリコ坂から』自体の感想。
悪くない。原作未読&予備知識ほぼゼロでも理解できたし、物語が破綻していないので、安心して見られる(笑)。
古き良き時代を懐かしむ『三丁目の夕日』的な映画なのかな、と思った。
街や生活の描写が丁寧で、カルチェ・ラタンを巡る騒動+恋愛だけで充分に楽しめるので、寧ろ「実は○○でした」の衝撃的展開は不要。恋愛の過程を地道に追えばいいのに、と思ったが、多分「実は~」は原作の本筋で外せないんだろうなぁ。
悪くはないのだが、もし吾朗氏以外が監督だったら、あらすじを聞いた時点で私は映画館に行かない筈。
もともと私、ジブリでも高畑作品だと「テレビでいいや」と思う人間だから……ジブリに期待するものが、非現実的でスケール壮大なファンタジーなんだよね。
地に足の着いた作風が吾朗氏の特徴なら、それはそれで良いことだが、今後は最初から「テレビでいいや」になる気がする。
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