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【感想】不思議な少年
不思議な少年 トム・ソーヤもハックルベリー・フィンも読んだことない私にとって、マーク・トウェインと言えば『出兵の祈り』。この作者ならば、『不思議な少年』(岩波文庫)の内容も、さもありなん。
(山下和美のマンガ『不思議な少年』て、関係あるのかなー。)

 テオドールら3人の少年が出逢った、不思議な力を持つ美少年サタン。彼は、自らを天使だと言う。

 少年たちはサタンに夢中になるが、その一方で彼の、人間に対する無関心を恐れずにはいられない。人間が煉瓦を見ても何も思わないが、サタンにとっての人間もその程度。彼のひと吹きで大勢の人間の運命すら変えられるが、そこに善意も悪意もないのだ。
 サタンの人間に対する評価に、作者の思想信条が出過ぎているのが少々難だが、天使は人間に対して無関心、というのは非常に同意。
 最終章は、読んでいて足元の地面が突如消え失せるというか、現実崩壊感覚に襲われる。
 しかし実はこの話、作者没後に未完の遺稿を編集したもので、第一原稿の末尾に第三原稿の結末を接ぎ木したらしい(汗)。えーっと、現実崩壊感覚に襲われていいのだろうか、私は。トウェインの意図に沿っているのか?

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【2007/02/08 21:00 】 | 感想海外文学 | コメント(0)
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