![]() 天才数学者・高木源一郎が、数学の地位向上を目的とするテロ活動開始を宣言した。ここ20年ほど日本中の高校で使用されていた、高木作成の数学教育ソフト。それを見た者はみな予備催眠状態にあり、彼の指示で殺人させることもできると言う。 テロ対抗の切り札として、ソフトを見たことがない中学生の〈数学大得意少女〉浜村渚が警視庁に現れた。 ……渚の登場シーンの描写が〈あと何年かすれば間違いなく世の男どもを虜にするであろう、美少女のタマゴだったのだ〉って、説明する気がないとしか思えん。 ソフトを見たことがない警察官を集めた対策本部には、20代の刑事が3人しかいない。高校卒業まで在米だった瀬島直樹。ソフト未導入だった離島出身の大山あずさ。そして武藤龍之介(語り手)は、 〈僕の話は、まぁ……長くなるから、ここでは控えておこう。しかし、誓って言うが、僕はその、高木が作ったという数学ソフトを見たこともないし、それだからこそ対策本部に入れてもらえた〉 らしい。 PR |
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![]() 昭和48年に金沢で起きた地元の名士・青澤家の大量殺人事件で、盲目の少女・緋紗子のみが生き残る。 小学生のころ近所に住んでいて第一発見者となった雑賀満喜子が、大学4年の夏に事件関係者を取材し、それが『忘れられた祝祭』として出版された。 さらに十数年後、また別の聞き手が、満喜子や関係者を取材して回るが――。 ……この聞き手、異常に有能だと思う(汗)。 満喜子は“昔の知人”“自分も関係者”という取材に有利な出発点に立っていて、何度も相手を訪ねて話を聞いて、やっと書けたのが『祝祭』だ。しかしこの聞き手は、殆どの話し手に対して赤の他人で、会うのも初めてだと思われる。なのによくこれだけ、綺麗事じゃない発言を引き出せたなぁ。 |
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![]() ……ミステリという言葉に毎回、“全ての謎が一点の曇りもなく解明される”ことを期待してしまう私が、間違っていたよ(汗)。まぁ犯人は解るし、面白かったから良いけどね。作者も、〈グレイゾーンを描きたかった〉んだそうだ。 昭和48年に金沢で起きた、「加賀の帝銀事件」とも言われた大量殺人事件。 地元の名士・青澤家の祝いの席に、当主の旧友の名前で毒入りの酒とジュースが届けられ、家族や親戚や近所の住人17人が死亡した。家族で生き残ったのは、中学1年の盲目の美少女・緋紗子のみ。台所には、奇妙な手紙が残されていた。 事件は、酒を運んだと目される青年の自殺で急展開。青澤家との接点がないため、他に主犯がいるとの説もあったが、結局は単独犯として処理される。 当時小学5年で第一発見者となった雑賀満喜子は、大学4年の夏に事件関係者を取材し、それが『忘れられた祝祭』として出版された。 それからさらに時を経て、また別の聞き手が、満喜子や関係者を取材して回る――。 |
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![]() 収録は、『山眠る』『走り来るもの』『朝霧』の3篇。シリーズ開始時は大学2年だった〈私〉が、『山眠る』で卒業論文を提出し、『走り来るもの』で就職。さらに本文に“私が入ってから二年、新人を採っていない”とあるから、『走り来るもの』内で2年経過している。これまで、話と話の間の時間の飛びはあっても、話の中の時間経過は緩やかだったから(長編『六の宮の姫君』でも約半年)、戸惑ってしまった。 |
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![]() 最近、人が死なないミステリを読みたい、と思う。きっかけは数年前、恋人が病気で死ぬ純愛物のブームに辟易したことなのだが、次第にミステリも、魅力的な謎を創造するためだけに人を殺すのは如何なものか(汗)、という気がしてきた。 日常ミステリと言えば昔、宮部みゆき『我らが隣人の犯罪』を読んだことがある。が、他の宮部作品に比べて面白くなかったため、以来“日常ミステリ”に対する印象が悪かった。しかし近頃、日常ミステリって実は殺人事件より難しいのでは、と思い始めた。面白い日常ミステリがあれば、それはきっと凄いことなのだ。 で、思い出したのが北村薫。 |
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![]() 小説家・重松時子が「うぐいす館」で薬物死してから四年。あの日、館に居合わせた文筆業の女たち5人が今年も集まり、時子を偲ぶ宴を開く。しかし、届いた花束に添えられたメッセージをきっかけに、食卓は告発・告白の場と化していく。時子は本当に自殺だったのか? |
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![]() さて、先日買ったドイル『シャーロック・ホームズ傑作選』(集英社文庫)。『ボヘミア王家のスキャンダル』『赤毛連盟』『花婿の正体』『五つぶのオレンジの種』『ゆがんだ唇の男』『まだらの紐』の短編6作が収録されているが、実は一番面白かったのは巻末の高橋克彦氏の文章だったりする。 |
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