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![]() 主に、米諜報機関CIAが日本国内で何をしたか・しているかを書いた本である。初版が1965年(ケネディ暗殺の2年後)で、これは1976年版(ロッキード事件発覚直後)の復刊。 |
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![]() 戦後、米諜報機関に対し〈日本人のエージェントはほとんどおれが紹介した。長光や、里見甫(戦時中に上海に里見機関を組織)、阪田誠盛(同阪田機関を組織)などもそうだ〉という証言を読んでいたので、〈アヘン密売のエキスパート〉とされる里見甫(はじめ)という人物に漠然と関心はあった。そこに、書店で佐野眞一『阿片王 満州の夜と霧』(新潮文庫)を見かけ、思わず購入。 最初の衝撃は、戦時中の軍と民族学の関係。〈辺境地域に居住する民族を研究対象としてきた民族学は、その成立時から、軍事、とりわけ植民地統治の隣接領域という宿命を負っていた〉。国策機関として民族研究所が設立され、研究者が現地調査に赴く際には“昭和通商嘱託社員”の肩書を持った。昭和通商って、『最後の証言』の会社社長も絡んでいた戦時中の軍需商社(裏の顔は諜報組織)じゃないか……うああ(汗)。 次。昭和40(1965)年の里見の死後、“芳名帳”には176名が名を連ねた。その顔触れが凄い。笹川良一や児玉誉士夫は解るが、岸信介、佐藤栄作って「阿片王」絡みで実名で参加して大丈夫なのか? ……この時点で、全十章の本の、まだ第一章である(汗)。続く。 |
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![]() 東条でなく、もちろん天皇でもなく、山下なのだ。〉 東條英機は知っていても、山下奉文を知らない日本人は多いのではないか。私は、そういう名前の軍人がいることを知っていた程度で、奉文を“ともゆき”と読むことも初めて知った。 母がブックオフで買って送ってきた、福田和也『山下奉文 昭和の悲劇』(文春文庫)。2004年、2005年、2008年に雑誌掲載された内容を、2008年4月に文庫化したものである。……ブックオフに売られるの、早いぞ(汗)。 陸軍でエリートコースを歩んでいた山下だが、二・二六事件の決起将校たちに自決を勧めた際、彼らが侍従武官の差遣を願い出たのを宮中に取り次ぎ、天皇の激怒を買う。 (この一件は、高校時代に読んだ笠原和夫『2/26』で、記憶がある。取り次いだ軍幹部の名前は覚えていないが。) その後、外地を転々とさせられるも、第二次大戦開戦直後、司令官としてシンガポールを陥落させ、一躍英雄となる。降伏交渉では、英軍のパーシバル中将に「イエスかノウか」と無条件降伏を迫ったと伝えられる。 (「イエスかノウか」の場面、漫画のワンシーンとして記憶があるぞ。多分、小中学生の頃に読んだ、『少年少女日本の歴史』(小学館)だ。) ……何度か山下という人物には触れているのに、全く結びついていなかったと見える。続く。 |
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![]() ……一読してまず感じたことは、松川事件の知識ゼロの状態で読む本ではない、ということである(汗)。1962年の本の復刊のためか、読者も松川事件と裁判の経緯はある程度知っている、と思って書いているぞ著者。最高裁判決が出た1963年ですら、私は生まれてないんだっ。 |
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![]() 1976年8月に出版されたものを復刊した本書は、一言で言うなら“ロッキード事件とCIA”の本である(ロッキード事件は同年2月発覚)。事件の核心人物・児玉誉士夫、あるいはCIAという諜報機関についての理解を促すために、日本の戦時中の特務機関や、敗戦後のGHQ占領下で起きた帝銀事件・下山事件・松川事件などについても書かれている。 |
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常石敬一『消えた細菌戦部隊 関東軍第七三一部隊』(ちくま文庫)。
二次大戦下の満州で、中国人やロシア人などの捕虜に対し細菌兵器や凍傷の人体実験を行った、通称石井部隊。10年くらい前に、実家で森村誠一『悪魔の飽食』を読んだので、知識がないわけではない。という状態で読み進む。 ……何となーく、違和感(汗)。“どの部分に”感じているかは分かるのだが、“何に対して”かを掴めぬまま本文を読了し、あとがきに入ったところで、「ああ!」と疑問が氷解した。 著者は、「どうして人体実験のような気味の悪いことを調べる気になったのだ」と質問され、次のように答えた。 〈直接の動機は、昨年一月に刊行された『ヒトラー政権と科学者たち』(岩波書店)の翻訳だった。私はその翻訳を進めるうちに、当時の日本の科学者たちはどんな意識を持ちそして行動していたのかを明らかにしたい、と考えるになった。そして従来あまり調べられていなかった細菌戦部隊を取り上げることにした。したがって最初の意図としては、一人ひとりの科学者が人体実験をやったかどうかという問題より、戦時下の科学者が軍上層部および体制等と、どうかかわったのか、そして彼らの研究の推進力が何であったかを明らかにすることにあった。〉 この本、“731部隊は何をしたか”が主目的の本ではないのだ。科学史、あるいは科学倫理の本の一環として、選んだテーマが731部隊だった。だから、部隊には関係ない、遺伝子組み換えやクローン人間まで引き合いに出される。 (その点、“731部隊の悪事を告発する”というスタンスの『悪魔の飽食』とは、印象が異なる。) |
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![]() その提供者本人による、柴田哲孝『下山事件最後の証言 完全版』(祥伝社文庫)。2005年7月に単行本として出版されたものに、その後寄せられた情報などを大幅に加筆・修正した、正に“完全版”。 |
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![]() GHQ占領下の日本、昭和24年7月5日。下山定則・初代国鉄総裁が失踪し、翌日、轢死体となって発見された。警察は自殺と発表したが、謀殺を主張する声もあり、未だに真相は不明である。 森達也『下山事件〈シモヤマ・ケース〉』(新潮文庫)は、当時テレビ関係者だった彼が、一人の情報提供者と出逢ったことから始まる。『彼』は言う。自分の祖父が、下山事件の関係者かもしれない……。 |
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![]() 2月、船長ただ一人が生還した。戦時中の折、彼を迎えた人々は“奇跡の神兵”と賞賛する。 しかし5月。難破地点近くで発見された、人骨入りの箱。神兵は一転“人食い”として逮捕され、世界で唯一「食人」の罪で裁かれ投獄された。出所後も、船長は「殺して喰った」との風評に晒され続ける……。 この事件がモデルの小説、武田泰淳『ひかりごけ』を私は知らない。ただ、書店で本書を見つけて手に取った。合田一道『「ひかりごけ」事件 難破船長食人犯罪の真相』(新風舎文庫)。著者が、頑なに沈黙する実在の船長のもとに15年通い続け、記したドキュメントである。 |
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![]() さて、森川哲郎『東条英機暗殺計画』(徳間文庫)。『拉致 知られざる金大中事件』(感想)同様、これも母の蔵書。 しかし……東条英機の親族が読んだら、激怒しそうな本だ(汗)。 |
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![]() 大韓民国の前大統領・金大中(キムデジュン)。昔、彼が日本国内から韓国へ誘拐される、という事件があったことは知っていた。しかし、何の為に、というのは知らなかった。 |
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田原総一朗『原子力戦争』(講談社文庫)。裏表紙には「原子力開発をめぐって渦巻くどす黒い欲望と陰謀の構図を、豊富な資料と洞察で描いたドキュメンタリー・ノベル」と書いてあるが、ドキュメンタリー・ノベルって結局何なんだ(汗)。読んだ限りでは、“概ね事実に基づいているが、完全なる実録ではなく、ある程度の創作が含まれている”代物、と踏んだのだがさて如何に。
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